まず演奏テクニックがあると思えないし、
呼吸も乱れているからテンポもガタガタ。

ハッキリ言って、
とてもストレスを感じる演奏。
最後まで聴き終えるのは拷問に近い。

最初、この演奏が、
今日まで「名演」と称えられている
理由がさっぱりわからなかったが、
最近になり、
同年代の他演奏者による演奏を
数多く聴いたことで、その疑問が氷解した。

つまり、情報が無かった時代だからこそ、
この素人演奏者は有名に、
そして演奏する音楽は名演になり得た。

また61年録音のフィリップス盤(PHCP-3810)に
あった宇野功芳氏による解説を読む限りでは、
シゲティが全盛だった頃、なんと
ハイフェッツと同列に語られていたそうだが、
これも十中八九、

「バカテクなハイフェッツと、
その間逆を行くバカヘタなシゲティ」

という比較が、何らかの事情で誤解され、
現在に至ってしまったとしか思えない。

クラシック音楽を取り扱う
メディアや評論家は、
そこら辺の分析なり釈明を、
いい加減したらどうなのか。

$ベートーヴェン  ヴァイオリン協奏曲 Op.61