10月24日、2年振りに音コンのヴァイオリン部門本選にいってきました。


今年から、本選の曲は出場者が複数の課題の協奏曲の中から、1曲を自由に選べるようになったようです。4人の選曲は以下でした。



 ・成田達輝さん バガニーニ 1番


 ・青木尚佳さん バガニーニ 1番


 ・柳田茄那子さん シベリウス


 ・尾池亜美さん バルトーク2番



パガニーニの2人は素直に勝ちに来た選曲。シベリウスは技巧と音楽性をアピールか。バルトークは、、、バルトーク???


バルトークの2番って聞いたことない。前日にプログラムを知って慌てて家中のCDを物色。ラッキーなことにメニューインのバルトーク全集に入ってました。前日、当日と2回聞いて一応事前準備はOK。


技巧的には凝っているけど、バルトークらしい内面的な深さを感じるけど、でも、決して華やかとはいえないこの曲。本選で選ぶのには相当強い思い入れを感じました。


そして、本選当日。成田さんは技術的にも優れていて、一生懸命歌おうとするところに清々しさを感じました。ちょっと音が細いのがこれからの課題か。


青木さんは、最初の一音から、あ、この人だ!と思わせる美音の持ち主。技術的にも素晴らしい完成度。みていてウットリするようなボウイング。音量も充分で、聞き終わったあと、正直今年の一位は決まりだと思いました。


休憩後、柳田さんのシベリウス。う~ん、聴衆の立場としては、正直パガニーニを2回聞いた後、ほの暗いこの曲の雰囲気に入り込むのは難しかったです。この辺はちょっとアンラッキーかも。。。演奏は前半よかったです。集中力がもたなかったかな。


そしてラストの尾池さん。うわ、すごい!完璧にこの曲世界入り込んでる!技術ももちろんですが、これだけ若くてバルトークの世界をここまで弾きこなせる人ってそういないんじゃないだろうか。明らかに客席の雰囲気も変わって、尾池さんの集中力に引っ張られていく感じ。久しぶりに聴き終わった後、しばらく余韻に浸っていたいと思わせる演奏に出会いました。


はたして一位は青木さんか、尾池さんか?どちらにも1位になって欲しいな、と発表前はちょっとドキドキ。


結果は2人とも1位 でした。(ちょっと、ほっとした。)


ところで、尾池さんのブログ 見つけました。やばい、面白いです。

今年4月のサントリーホールのコンサートの時に買った諏訪内さんのCD。


いままでの、『諏訪内さん美しさ』を前面に押し出したデザインを捨てて、素の部分をさらけ出すようなジャケット。


正直クロイツェルってちょっと聞き飽きた感があって、このCDも買ったまま聞いてなかったんだけど、聞いてみたら凄かった。


諏訪内さんならではの美音はもちろん、虚飾を排したシリアスな表現、突き抜けていくような音楽の大きさ、有機的に絡み合っていくニコラのピアノ、全部凄いと思う。


特に最終楽章が素晴らしいです。

11月23日(祝)は、またまた所沢MUSEへ。


今回はギドン・クレーメルとクリスティァン・ツィメルマンのデュオによる、ブラームスのソナタ全曲演奏です。


所沢MUSEの大ホールは満員!実はこのホール、音がいい割にお客さんが集まらない事で有名で、前回のゲルギエフのときでさえ7割くらいしか埋まってませんでした。まぁ、有名どころが来る割にサントリーホールに比べてチケット安いし取りやすいので、マニア的には穴場なんですが。。。うぅ、都心から遠いよぉ~~~(泣)


でもさすがにクレーメルは満員でした。なんたって今シーズンのバイオリン業界(?)一番の話題のLIVEですから。


でもですね。。。正直、お客さんが最悪。演奏始まってから席さがしてうろうろする人はいるは、演奏中にホール内に入ろうとして入り口付近で待たされる人はぞろぞろいるは、曲の途中で咳がとまらなくなる人も一人や二人ではありません。これじゃ集中できないよガーン



演奏について。


クレーメル、期待通り素晴らしかったです。ブラームスではアファナシエフと録音したソナタ全集があって、やたら遅く弾くイメージがあったのですが、ツィメルマンとの演奏はなめらかに進めていく感じでした。


当日クレーメルは白の襟なしの上着に黒のズボンで、遠めから見ると三ツ星レストランのシェフの様。そして料理される音楽も、まさに素材(楽曲)本来の味を最大限に引き出すような、てらいのない音でした。


音でいえば、ツィメルマンのピアノはさらに上を行きます。柔らかくて、艶やかで、優しい音。もう確信して言えます、いままで聞いた中で最も美しいピアノだと。


はじめの一音からあまりに綺麗な音なので、無意識にピアノの方に耳がいってました。音楽よりもっと前の、音だけのところでこれだけ感動できることってそうそうないです。帰りは清清しい気分で所沢を後にしました。