母は父のペースに合わせて生きていた。
父が亡くなって、母は一日の過ごし方に戸惑っているように見えた。

父より早く起床して朝食の支度をするという1日のスタートがなくなり、元々菓子パン好きの母は朝台所に立つことがなくなった。
極端に偏食で毎日同じ物を食べることを苦にしない母の買い物はいつも同じ物ばかりを買う。
でも料理が好きではないから菓子パンで済ませることも少なくない。

異変は冷蔵庫の中から始まった。

ある日、実家の冷蔵庫を開けると野菜室に茄子🍆が萎れた物から新鮮な物までぎっしり入っていた。
冷蔵室には卵のパックとこんにゃくとさつま揚げの袋がいくつも無造作に詰め込まれていた。


傷んだ物や期限切れの物を処分すると言ったら
「今日食べるから平気。捨てないで。」と言う。

母がトイレに行った隙に私は自分のバッグに入る分だけ持ち帰り処分したけれど後で何か言われることはなかった。


この頃の母はまだ車を運転していた。