昔からとにかく何でもメモをとる母だった。
手帳、チラシの裏、DM の封筒…その場にある物に走り書きをする。後できれいに書き直すと言いながら走り書きが積まれていき、ある程度高くなるとほとんど清書することなく捨てる。
父が亡くなってからは山積み方式から仕舞い込み方式に変わった。
財布がないと電話が来た頃、毎日のように実家を捜索して気づいたのだが、開けられないほどぎゅう詰めの引き出し、押し入れには紙袋やレジ袋にメモが目一杯入っていた。
処分しようと言うと「後でやるから」と私たちに触らせなかった。
ある日、財布がないと電話がありいつも通り三女と実家へ行くと、財布はテーブルの上にあった。
但し、中身がからっぽで現金は勿論ポイントカードやレシートも一枚も入っていない。
その頃はまだ金銭管理は母任せだったので財布にいくら入っていたか何が入っていたかわからないまま、三女が母の部屋を捜索し始めた。
私は座っていたコタツの敷きパッドに違和感を感じてめくると結構な数の小銭が無造作に並んでいた。もしやと思いコタツの天板をずらすと紙幣が数枚挟んであった。
これが財布の中身では?と母に確認すると自分でやった記憶はないと言いつつ、最近ポカばっかりしてるから無意識にやったのかもと言い、紙幣と小銭を財布に戻した。
三女がメモの山から一枚抜き出し母に見せ、これは何?と質問した。
メモには
◯月✖️日PM◉時 ◇◇駅
△△(母の弟の名前)待ち合わせ
印鑑証明書、印鑑持参
遺産分割協議書
◆◆司法書士事務所
と書いてあった。書いてある日時は過去のものだった。