やぐらと提灯だけで風情を感じて
その後は元通りの関係になった私たち、、
いや、明らかに以前とは異なるのだろうけど
彼は元気を取り戻し今まで以上に活躍していた
様々な音楽記録を更新したりバラエティやドラマもこなし
さらに遠い人になってしまうようだったけど
どんなに忙しくても連絡をくれた
「スミレちゃ～ん、疲れたよぅ
でも早く会えるように頑張るよ」
甘えて子どもみたいだけど私だけに見せてくれる姿は
彼に必要とされているのかなと思えて嬉しかった
彼が長期不在中も私は彼が全てになってはいけないと仕事も頑張れたし
趣味や友達との時間も大切にできた
何をするのにも一生懸命な彼から学んだ事の一つだ
同じ24時間365日という限られた時間を彼は普通の人の何倍も濃く
有効に使っているんだと感心する
私も負けていられない
彼らの関係は続いている
何かを見た訳でも聞いた訳でもないがこれは彼女としての直感
ライバルであるチーくんとは会話しなくても分かる
間違いない
彼といつも一緒にいて
しかもあんな素敵なチーくんに勝てるわけないけど
少しでも彼につり合うように
対等に分かち合えるようになりたい
相変わらず時々襲ってくる不安に押しつぶされそうになるけど
彼を、、
私自身を信じて頑張りたい
ある日彼の部屋でテレビを見ていると
花火大会の告知をしていた
「わぁ、夏だねぇ
ユーさん花火大会って日本で見たことある？」
興奮気味に聞くと
「あーイベントで花火が上がってみたことはあるけどちゃんと見たことはないかも」
ソファの前に体育座りしている私の後ろにきて
私をまたぐようにソファに座りながら答える
「だよね、人混みだもんね
行けるわけないよね
お祭りとか夏は楽しい事が沢山なのにね」
ふと言葉にしてしまったら
彼がソファから床に降りて座ったまま
私を後ろからかかえこむように抱きしめる
「ごめんね」
彼が飼い主に怒られた子犬みたく
あまりにも申し訳なさそうに言うから
「やだ、謝らないでー
私こそごめんなさい
こうやってユーさんといられるだけで幸せって言ったでしょ」
いけないいけない
つい今の贅沢を忘れそうになってしまう
贅沢言っちゃいけませんよ。
