◆カレと48時間逃亡するCD「クリミナーレ! 」Vol.1 ジェラルド
CV.緑川 光
やっとアジト・・アンフィスバエナの本拠地に入る。
手錠を外そうとするが・・
敵に奇襲を掛けられアジトを後にする二人。
・・・おかしい・・こんなに用意周到に敵の本拠地を
攻める事が出来るだろうか・・。
ジェラルドも同じ思いだったようだ。
「スパイが入り込んでた・・。」
「窓から飛び降りるっ、しっかりつかまってろっ。」
彼の背中に手を回す
ジェラルドは、片手でワタシを抱き締める。
「今は逃げるしかないっ、お前は前だけを見てろっ。」
目の前の路地を目指して走る。
ワタシの腕を銃弾がかすってゆく。
「っ!」
気を失うワタシ。
「冗談だろっ!おいっ!」
ジェラルドはワタシを背負い地下通路まで逃げる。
ワタシの傷は浅かったが、撃たれた事のショックが大きく気を失ったらしかった。
アジトも仲間も敵の手に落ちた事を知ったワタシは、自分を責めた。
ジェラルドも今後の事を考えていた。
「たとえ自分の命と引き換えにしても、お前を守らなきゃいけない。いや、守る事が誇りなんだ。」
「でもっ、ワタシのせいで・・・こんな・・」
「良い子だから、言う事を聞いてくれ。」
彼は子供をあやすように、ワタシの頭をなでた。
「気に掛けてくれた事は感謝するよ。それでもお前は自分が死なない事だけを考えてくれ。」
又、ワタシ達は安全な場所を探し移動した。
着いた先は、彼の生まれ育った家だった。
食材も途中、買ったので何か食べるものを作る事にした。
でも手錠のせいで、2人で作る事になった。
母と二人暮しだったワタシは料理をする事に、慣れていた。
ナイフで食材を切るワタシを、ジェラルドは感心してみていた。
重い鍋は彼がやってくれた。そんな彼の横顔を不思議な気持ちで見ていた。
(この人、そんなに悪い人じゃないかも・・しれない)
手錠でこすれて、手首に傷を作っていたワタシ。
傷にアルコールの代わりにワインをかけるジェラルド。
流れるワインに口をつけすする。
「そ、そんな事しなくても・・平気だから・・」
「・・二度と俺に遠慮なんかするなよ。」
そういうジェラルドだったが、焦っていた。
仲間も捕まりアジトも占拠され、どうすれば良いのか・・。
彼の家族はマフィアに殺された。
マフィア同士の抗争に巻き込まれたのだった。
彼を庇い、撃たれた母とワタシが重なると言った。
また同じめにワタシが、合うのでないかと。
「俺に何が出来るっ、なさけねぇな・・」
ワタシは彼の手に触れた。
「ワタシは絶対死なないわ。」
「何処にそんな確証があるんだ、俺が守りきらなきゃ終りだぞっ。信じられんのかよ、俺がお前を守り抜けるって。」
ワタシは頷いた
「嘘つけっ、銃を突きつけられたら、そんな事言える訳がない。お前だって死ぬのは怖いだろ。」
「・・怖くないわ。」
家の外から銃声がっ。此処も嗅ぎつけられたっ。
「この状況で良く言えるぜ、第一、声、震えてるじゃねぇか。」
「ふっ、震えてなんかないわ、平気よっ。・・・それに・・貴方を信じてるから・・」
彼はワタシを抱き寄せ
「身体まで震えてる。これのどこが平気なんだよ。強がったって見え見えなんだよ、俺よりお前の方が怖いに決まってる。」
「自分の命、俺に預けなきゃなんねぇだから。それなのに信じてるなんて、気安く言うなっ。」
「気安くなんて言ってない。それに・・おじけづいてるのは・・どっちよ。」
「・・そうだな、お前の言う通りだ、ヒビってるのは俺の方だ、自分を信じ切れてねぇのも、俺だ。」
「なぁ、もう一度だけ聞く、俺に命、預ける気はあるか。」
「もうとっくに、預けてるわ。」
「分かった、確かに預かった。お前の事は、俺が守るっ。」
ワタシの顔を見るジェラルドの目には
迷いはもう消えていた。
*