新撰組黙秘録勿忘草 ~斉藤一~⑤
ネタバレございます。
ワタシ目線で勿忘草を語ります。一部脚色がございます事をご了承の上お読み下さい。
大人な表現が含まれます。ご注意願います。
それでもOKの方・・どうぞお進み下さいませ~。
*新撰組黙秘録勿忘草 ~斉藤一~
CV:高橋 直純
ワタシは言い付け通り、他の隊士に見つからないよう、斉藤さんの部屋まで来た。
「斉藤さん、ワタシです・・・」
「・・ようやく来たか・・随分と時間が掛かったではないか。」
斉藤さんは少し意地悪く言うと、ワタシを招き入れた。
顔を真面に見る事が出来ず、俯く。
「俺が怖いのか・・来い・・。覚悟は決めて来たのだろう。」
時折、触れるだけでは物足りないと、斉藤さんは優しく抱き締めてくれた。
「存分にお前を・・乱したい・・。」
女として見ていてくれている、と言う嬉しさで満たされていく。
そのまま押し倒され、見下ろされ、性急に口付をされる。
堪らず
「あ・・もう・・止めて・・」
息ができない。
「・・断る。これ程心配を掛けられて、怒らぬ男が居るのか。」
目を細めて頬を撫でられる。
「お前が、悪い・・。」
心に迷いがあっては任務に支障が出る・・
斉藤さんはそう言った。
迷わないように・・抱くのだろうか。
「この感覚を忘れるな。もし・・俺が帰らずとも、他の男に・・触れられる日が来ても・・」
この人は、自分が帰らないかもしれないと
これが最初で最後かも、知れぬと何処かで悟っている。
斉藤さんは、ワタシの全てを奪っていく。
身体も心も。
「こんな、霰もない姿を他の誰にも見せるな、貝のように口を閉ざし、微笑み一つ投げかけるな。」
烙印を押すように、自分の痕を残していく。
この女は自分の所有物だと、言っているようだ。
「良いか・・お前の居場所は此処だ、俺の腕の中だ・・」
抱き寄せられ、斉藤さんの腕に囲われる。
トクントクン・・胸の音が聞こえる。
何故だか、泪が流れた。
「分かったな・・。」
優しく頭を撫でられる。
穏やかな声色と手の感触で、次第に眠りに落ちていった。
夜中にふっと気が付くと、横で斉藤さんが私の顔を見ていた。
「あ・・。」
「もう起きたのか・・まだもう少し、眠っていても良いのだぞ。お前の寝顔を見るのは二度目だが、見飽きないのでな。」
「・・いつまでも見ていたいと思う。」
気恥ずかしくなって、赤くなった。
「まったく、お前は恐ろしい女だな、この俺を・・こんなに・・」
「こんなに・・?」
「いやっ、この言葉は今はまだ、言わないでおこう。」
少し悲しんだ表情になっていたらしいワタシ。
斉藤さんはワタシに向き直り
「そんな顔をするな、」
ワタシの頬に手を添える。
「もし任務から戻れたら、いや、お前と言葉を交わす為に、俺は必ず戻ってくる。だから信じて待っていれば良い。」
ワタシは斉藤さんの胸に顔を埋めた。
(・・行かないで・・)
言ってはいけない言葉・・だった。
言えば、彼が迷う。
ワタシは必死に飲み込んだ。
「・・泣いているか・・帰ってくると約束したと言うのに・・」
ワタシの髪をすくように撫でた。
「・・俺は今まで自分の刀は敵を殺す為、新撰組の為だけに振るうべきものだと思っていた。だが・・お前の為に振るう事も出来るのかもしれない。この刀を振るう事でお前を守り、そして・・いつか・・」
彼は自分の手を見つめて語る。
「いや・・また、しゃべりすぎてしまったようだな。どうもお前の前では調子が狂う。」
優しく抱き締めてくれる斉藤さん。
「もう少しこうしていたいのは、俺の方なのかもしれないな。まったく女と言う生き物は恐ろしい生き物だ。乾ききった心を、こんなにも潤してくれるのだから。」
-数日後、斉藤さんは屯所を任務の為に出立-
「俺はもう行く、いくら人目を忍んでいるとの言え、これ以上は危険だ。」
「・・・」
ワタシは斉藤さんが買ってくれた簪を手に握り締めていた。
「その簪を俺と思って持っておけ。あの日を・・あの穏やかな日を忘れぬように。」
簪を持った手を斉藤さんは触れた。
「いつかまた、ああしてお前と過ごせるように。」
「発つ前に、お前の唇が欲しい。いいか。」
嫌なら拒めと言いながら、ワタシを抱き寄せ口付る。
「お前の唇は・・甘く薫る。お前は本当に不思議な女だな。その薫りに導かれれば、何処にいても必ずお前の元に戻って来る事が出来るだろう。」
「死して尚、甦る事が出来ると思えるほどだ。」
泣いては・・いけない。
笑って、送ってあげなければ・・
分かってるっ。分てるけど・・
笑おうとすれば、するほど、泪が流れた。
「俺はこれから敵を欺き、殺す事になる。血を浴び、憎まれる。だが、俺には俺の進むべき道がある。・・やらなければならない道がある。」
斉藤さんは拳を握りしめた。
「その為なら、自分の罪が増える事も厭わない。」
「・・・それでも良いと言うのなら、待っていてくれ。」
ワタシは頷いた。
「ワタシは、斉藤さんのお帰りをお待ちしています。」
「・・俺は必ず戻って来る・・だから、泣くな。」
「泣いていませんよ・・泣いてなんて・・」
斉藤さんはワタシの頬に触れて、泪を拭う。
「二度と逢えぬ訳ではない、暫くの辛抱だ、いいな。」
「ワタシの事、忘れないで下さいね。」
ワタシは無理して作った笑顔で斉藤さんに言う。
「ああ、勿論だ、ひと時すらも忘れないだろう。お前も・・俺の事を忘れぬように頼むぞ。寂しくて仕方のないときは、俺との日々を思い出せ・・記憶は何時だって変わらない。俺は何時だってお前の心の中に居る。」
「はい。」
「・・すまない・・お前が泣き止むまで・・側に居てやりたいが・・」
「もう行かねばならぬ。」
「だが、案ずるな、刀には刀を振るう者の心の強さが現れる。故に、お前が俺を強くしてくれる。必ず戻って来る。信じていてくれ、俺の事を。」
ワタシを抱き締め、口付される。
「では・・またな。」
貴方が戻ってくると、約束してくれたのだから・・
ワタシは待っています。
残していった暖かさも全て忘れず。
去って行く彼の背中を見えなくなるまで見送った。
-完-
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
◆総評◆
第1弾の斉藤さんがラストになってしまいました。
私の斉藤さんの印象は、掴み処がなかなか無い、でした。
第1弾というのもあって、シナリオも、支離滅裂な部分もあったり。
ココで入浴シーンとか、ね^^;
あまり感情を表に出さない人なので、どうやって愛を交わす場面まで
持って行くかがキーになりました。
後、SE・・刀を振るう音とか立ち合いシーンでのSEがちょっと・・ね。
他のリスナーさん達もおっしゃっていましたが、刀を振るSEが勢いが有り過ぎと。
ヒュンヒュンって軽く振い落す音は、女性が刀を使う音としてはシックリきません。
私は、立ち合いの刀の交じり合うSEが日本刀のSEでは無いと思いました。
もっと剣先の細い、サーベルなんかの音に近いです。
音響さん、頑張って作って下さいね。
すいません・・耳が良いもんで^^;
町に出掛けてから、態度が柔和した斉藤さんでしたね。
彼女を弟子と言う視点から、女性として見る切っ掛けとなりました。
雨の中、彼女が屯所に戻って来るまで、やきもきしながら、待っていたんでしょう、
彼女の姿を見るなり、心配した気持ちと安堵した気持ちで、少々彼女に辛く当たります。
彼女の方は、斉藤さんの気持ちに気付かず
抱き締める彼の行動が理解出来ません。
「他の女の事などどうでも良い。お前が戻ってこないそれだけで、こんなに気持ちが乱される。」
彼の気持ちを知った彼女は、どれだけ心配を掛けてしまったか後悔します。
彼は表現が乏しいので、拾うのが難しいよね(^_^;)
高橋直純さん・・またまた存じ上げない声優さんでした。
画像を拝見しましたが、V6の岡田君似のイケメンさんでした♪
今回で新撰組勿忘草 黙秘録は出揃いました。
如何でしたでしょうか。
ドラマcdを聞かれて、こちらをご覧になられた方
知らずに読まれた方・・
どんな感想を持たれたでしょうか。
私視点で順位を付けたとしたら・・
①山崎烝
もう、彼女の暴走を止められず
やりたい放題、書きたい放題でした^^;
基本のシナリオを崩してしまう恐れもあるくらい・・・。
思い入れもかなり、あります。
②近藤勇
近藤さんの大人の対応にほだされました。
この時点で、自分の取るべき道を示唆している事が
悲しいです。
もう泣きながら書きました。
③藤堂平助
悩みが幼く真っ直ぐなだけに、大きく
自分が居なくなった後の、寂しさ辛さが
切ないです。
シナリオも勿忘草と言うタイトルに
一番合っていたと感じます。
長くなりましたが、読んで下さりありがとうございました。
また、血魂録でお逢い出来たら、嬉しいです♪