新撰組血魂録勿忘草 ~沖田総司~② | 中島陽子のフリーダムなブログ

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新撰組血魂録勿忘草 ~沖田総司~②

注意ネタバレございます。
ワタシ目線で勿忘草を語ります。一部脚色がございます事をご了承の上お読み下さい。
大人な表現が含まれます。ご注意願います。
それでもOKの方・・どうぞお進み下さいませ~。


$中島 陽子の〔And ...〕


*新撰組血魂録勿忘草 ~沖田総司~
CV:鈴木達央


その日の夜、沖田は彼女の部屋を訪ねた。

「居ますか?開けますよ。」

「呆れた・・まだ準備が出来てないんですか。さっさと支度をすればどうなんです。」

何か約束をしていただろうか・・。
話しが見えずおろおろするワタシ。

「あの・・何処に行くんですか。」

「お祭りですよ。君が行きたいって顔でこっちを見てたじゃないですか。少し休んだし、気まぐれに付いて行ってあげても良いと思ってやって来たんです。」

「行くの・・止めますか。」

「いえっ、行きますっ。すぐ支度しますからっ。」

早くしてと沖田さんに急かされる。
急いで身支度をして、沖田さんと出掛けた。

お囃子が賑やかな中、かなりの人混みを見て
沖田さんは嫌な顔をする。

「うぁ・・酷い人混みですね・・見渡す限り、人、人、人・・僕達が歩く隙間なんて見当たらないじゃないですか。」

人が多い場所を極端に嫌う沖田さんが、もう戻ろうと言う。

(えっ、今、来たところじゃないっ。)

ワタシは嫌がる沖田さんの手を取って、人混みを縫うように歩き出した。

(あ・・綺麗・・)

ワタシはある屋台の前で立ち止まる。
「っ、急に立ち止まらないで下さいっ。何か見つけたんですか・・ああ、風車ですね。」

色とりどりの風車が、くるくると回り綺麗だった。

「へぇ・・綺麗だな・・そう言えば僕、風車、作れるんですよ。」

屯所の近所に居た子供達の遊びに付き合っていたと言う。

(意外だな・・沖田さんなら、うるさいって言って、子供を遠ざけそうなのに・・)

「あの時、折り紙を色々覚えたんです。風車も良く折りました。」

此処に並んでいるような綺麗な風車は作れないけどと言った。

「沖田さん、ワタシも作りたいですっ。」

「・・それってもしかして、僕に教えて欲しいって事ですか。」

ワタシは頷いた。

そんなつもりで話した訳じゃないと言う沖田さん。

「お断りです。」

「えっ、どうしてですかっ。」

「君、不器用じゃないですか。料理、洗濯、掃除は一応こなせますけど、でも、人より上達が遅いですしね。教えていて僕がいらつくのなんて、目に見えてます。僕の忍耐力は人と比べて低いんですから。」

それは・・認めるけど・・
「それでも、作ってみたいんですっ、教えて下さいっ。」

「珍しく強情ですね。そんなに風車が好きなんですか。」

だったら此処で買えば良いと。

「・・違うんです・・二人で・・折り紙を折ってみたくなって・・・」

「なんですか、それ。随分と子供っぽい事を言うんですね。確かに僕達は二人で共通の何かを楽しむと言った過ごし方はした事がありませんけど、君は折り紙が得意なんですか。」

ワタシは首を横に振る。

やっぱり、鶴の折り方も知らないくせにと呆れられた。
それでも、折り紙は買ってあげるから、一通り折り方を覚えてから
もう一度誘ってと言われた。

(教えてもらえるんだっ)

「はい、買ってあげましたよ、どうぞ。」

折り紙を渡された
「有難う御座いますっ。」

嬉しくて何度も見るワタシ。
何にやにやしてるのかと聞く沖田さん。

「折り紙を買って貰った事がそんなに嬉しいんですか。」

早く閉まってと、少し照れてるような顔の沖田さん。
繋いだ手を解くのは・・寂しくてそのまま繋いでいたかった。
片手に買ったものを沢山持っていたので、はずみで落としてしまった。

「あぁあぁ・・りんご飴、落としましたよ。年甲斐も無く、はしゃいで食べ物ばかりそんなに買い込むからですよ。どうして物を一杯抱え込んでいると言うのに、片手しか使わないんです。」

「僕の手を離して、両手で持ったら良いのに。」
「・・・」

ワタシは無言で俯いた。
言葉に出したら、沖田さんに、からかわれてしまう。

そんなワタシを彼は、少し笑った。
「それは嫌なんですか。仕方がありませんね。」

沖田さんは折り紙を、ワタシの帯に挟んだ。

(あ・・)

「・・ほら、ちょっとこれ、持っていて下さい。それにしても、ちょっと抱え過ぎじゃないですか。又、落としそうで、はらはらします。」

「そういう沖田さんも、買ってるじゃないですか。」

「・・そうですね、僕もかなり買っていますね。」

お祭りに来たのは久々で、熱気に当てられてつい・・財布の紐が緩んでしまったと
苦笑いの沖田さん。

自分は片手で持てる限度で買っているから良いんだと言われ
ワタシは自分の片手を見て、恥ずかしくなった。

お腹が減ったらしい沖田さんは、買ったイカ焼きを頬張った。
「このイカ焼き、思った通りの美味しさですね。二つ買っておいて良かった。一つは平助の御土産にしましょう。あ、それなら近藤さんと土方さんの御土産を買うのが先決ですよね。うっかりしてました。」

出店の物なんて、近藤さん達は好かないかもしれないけど、根付屋あたりなら
掘り出し物があるかもしれないからと、ワタシ達は捜した。

「沖田さん、お祭り、楽しんでます?」

「べ、別にお祭りを楽しんでる訳じゃないですよ、変に勘繰るのは止めてもらえますかっ、不愉快ですっ。」

少し早足になる彼を追いかける。

(もうっ、本当に素直じゃないんだからっ)
ワタシは嬉しくなって沖田さんに寄り添った。

余計な事を言ってる暇があったら、もう一度出店を回ろうと
その前に何か荷物を減らせばと言われ
お饅頭を頬張るワタシ。

「・・口元に餡子が付いてますよ、もっと気を配って食べて下さい。それとも、そこいらの男女がしているように、僕にそれを取って欲しくて、わざと付けているんですか、だとしたら浅はかな計算です。僕がそんな真似、する訳ないでしょう。」

(そんな事分かってるし、望んでませんっ。)

早く拭く様に言われて、少しすました顔で拭うワタシ。

「まったく斉藤君の言うとおり、色気より食い気ですね。食べ終わりましたか、少しは荷物が軽くなったようですね。では、御土産選びに行きますよ。離れないようしっかり、手を繋いでいて下さい。」

ワタシの手を、少し笑いながら繋ぐ沖田さん。
人混みの中、沖田さんと手を繋ぎながら歩く。
隊服を着ていない彼は、少し大人っぽい。
ちょっとどきどきしながら、横顔を見ていた。


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人混みから外れた場所に出たので、少し歩き疲れたから休もうと言う沖田さん。

「近藤さん達の御土産、買えて良かったです。付き合ってくれて有難う御座いました。一応お礼を言っておきます。」

人の物ばかり買って、自分達の物は何も買えなかったねと。
「最初に勢いで買った食べ物ばかりで、もう少し計画性を持つべきでした。」

「そんな事ないですよ。」

ワタシは帯に挟んでくれた折り紙を見せた。

「でも折り紙ですよ、それで喜べるなんて君ってなんて簡単な人なんでしょう。」

(・・良いじゃない、嬉しかったんだもの。)


「まぁ、楽しんだのなら、何よりです。・・僕も思っていたよりは、つまらなくはありませんでしたよ。」

(それは、楽しかったという事ね・・)

沖田さんとの会話は、こういう通訳が必要で、頭の中で変換される
事に慣れてしまった。

「だからと言って、来て良かったと言うつもりもありませんけど。君は買った物をぽろぽろと落とすし・・とにかく世話が掛かります。無駄に疲れました。」
「其処のところ、ちゃんと分ってるんですか。」


「ごめんなさい・・。」

「今更、謝られたところで、僕の気は納まりませんよ。」

気落ちするワタシ・・

「そうですね・・せめて、これくらいは貰わないと・・」

顎を持ち上げられて、口付けをされた。

「まだ・・足りませんね。・・もっとです。」

何度も唇を食むようにして奪われる。

「そう言えば、外でこういう事をするのは、初めてですね・・人が居ないのに、妙にどきどきするものですね。」

腰に手を回し、引き寄せられる。
ワタシの顔を見詰めながら
「へぇ・・ねぇ、今の君、妙に色っぽいですよ、月明かりせいでしょうか。まるで僕を、誘っているように見えます。」

段々深くなる口付けに、足元がふらつく。
そんなワタシを支える沖田さん。

「おっ・・と、よろけないで、ちゃんと足に力を入れて下さい。」
「言ったでしょ、僕は疲れてるんです、君が倒れても支えきれる自信はありませんよ。」


そっと沖田さんの背に手を回した。

「・・そう、ちゃんと僕にしがみついて・・」

ワタシの手が水飴でベタついているのに
気付いた沖田さんは
「恥かしくて隠してたんですか・・・手を・・貸して下さい・・。」

綺麗にしてあげると言い、指を丁寧に舐める。

(もうこっちの方が、恥かしい・・)

こちらを、わざと見ながら指に舌を這わす。


「・・甘いですね・・君も味わいたいですか、なら、食べさせてあげますよ。」

深く口付けを落とされる。

(本当に・・甘い・・)

口付けの甘さなのか、水飴の甘さなのか・・・どちらか分らなくなっていた。

「美味しいですか・・」

うるんだ瞳で彼を見詰めた。

「もっと食べたそうですね・・良いですよ、どうぞ・・。」

何度目か分らない口付け・・。

「あれ、どうやら手だけじゃなくて、首にも水飴が付いているみたいですね・・その手でうっかり、触れてしまったんでしょう。本当・・駄目な人ですね。」
「仕方ありません、そこも・・僕が綺麗にしてあげます。」


囁くように言われた・・。
首に吸い付くような口付けを落とす。

「もう首の辺りは平気そうですね、まだべたついてる気がすると言うのなら、もっと舐めてあげますけど・・でもその前に、もう一度口を開けて、甘い水飴をもっと食べさせてあげますよ・・。」

あちこち、べとべとにするなんて、だらしないな
嬉しそうに言う沖田さんに
顔が赤くなるのが分った。

「顔を背けないで下さい、見たいんですよ、君の顔が。・・・切なそうにして、良い表情ですね・・」

今日は此処までで我慢してと、身体を離される。


「・・外でこうして過ごしていた時間と、出店を回った時間、どちらが良かったですか、正直な感想が聞きたいですね。」

まだ頭も身体も、熱っぽくて、冷静に答えられない。

「ほら、答えて下さいよ、君はいったい、どちらが楽しかったんです?」

俯いたまま、答えられないワタシ・・。

「ふぅん、答えないんですか、って事は、恥かしくて答えられない方が正解って事でしょうね。ふっ、なるほどねぇ・・」

耳元に口を寄せて
「・・そういう君も、嫌いじゃないですけどね。」

(・・それは、好き、って事・・かしら」

一人でまた赤くなった。





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