久しぶりの小話……というか赤ずきんちゃんです。そのほかにもメルシーとかエアレイプとかおしゃ連とかいろいろレビューしなきゃなのでした。来週中に目処をつけたいなあ。
赤ずきん 6
……ここから暫くは狼視点でお楽しみください……
獄寺隼人は狼でした。一見人間のようですが狼です。その証拠に髪の毛が狼の灰色です。もちろん眉もまつげも下の(以下自主規制)。
そして、獄寺隼人は一匹狼でした。始めは隼人も群れにいたのですが、気が付くと一人でした。B型にありがちです。
一人でいることに不自由は感じませんでした。でも、やはり仲間が欲しい。どうせなら気の合う仲間が。そして出来れば尊敬できるボスに付きたい……。そう思った隼人は、仲間探しの旅に出たのでした。
その森にとどまったのに、深い意味があったわけではありません。手頃な広さと、他に狼のいない気楽さに、暫く住処にしようと思ったのです。
隼人は陽だまりでうたた寝をしていました。何の物音もしません。目を閉じていても、太陽のまぶしさと暖かさを感じることが出来ます。このままずっとここにいてもいいかな、と隼人は思いました。
風が吹いて隼人の髪を揺らします。一緒に、ぬくもりも奪って行きました。寒い、と隼人は思います。一人でいることは別に苦痛ではないけれど、例えばこんな時、隣にもう一人分の体温があったら違うのかもしれない。一人でいい、気持ちを分け合える誰かが欲しい……。
季節のせいか、思考が乙女になっている隼人が、目を見開きました。素早く起き上がります。狼の優れた聴覚は、森への侵入者を察知したのでした。刃向かうようなら容赦はしない……。物騒な事を考えつつ、音を立てずに侵入者の背後に忍び寄ります。見たところ、それは人間の子供のようでした。朽ちた切り株に飛び乗って、遊んでいるようです。ハーフパンツから、すらりとのびた細い足の白さに、狼は目を細めました。ちょっとからかって、この森から追い出そう。そう思い、狼は声を掛けました。
「おい」
びくりとした細い肩。薄茶の髪を揺らして、侵入者は振り向きました。
狼の息が止まります。
そのとき、光が弾けました。微笑んだ少年(狼視点)がいます。周りの景色も友達も(いませんが)、その人の影に見えなくなってしまいました。なんて不思議なことでしょう。
それまで「悪くない」と思っていた森が、急に味気ないものに変わりました。その人を見てしまったから。髪と同じ色の、大きな瞳の何と愛らしいことだろう。見飽きないその瞳は、幼い頃噂に聞いて憧れた、砂漠にかかる大きな月のようだ、と思いました。
その人が、後じさりしました。その仕種も小動物めいて愛らしく、狼の好みでした。うっとりと見つめていると、その人の体が後ろに大きく傾ぎます。足を踏み外したのでした。危ないと思うより先に体が動いていました。宙を掴むその手を取り、引き寄せます。慌てていたせいでしょうか、引いた手に力を込めすぎて、体ごと抱きとめるような形になりました。
……あったかい。
子供らしく、高い体温が服を通じてて伝わってきます。細い体は狼の腕の中にすっぽりと納まってしまいました。目を閉じて、温もりと感触を堪能します。大きく息を吸えば、清潔な石鹸の香り。
少年は切り株に乗っているので、狼よりも高い位置に顔があります。見上げれば、真っ赤になって目をぎゅっとつぶっている、幼い顔がすぐそこにあります。ぴったり重なった体から、少年の早い鼓動が聞こえてきます。オレも今同じくらいどきどきしている。狼は思いました。この人なら。
相手は人間ですが、狼は思いました。この人となら……。
「あ、あの……」
目を開けた少年が、おずおずと声を掛けました。今まで聞いたどんな声より音より、心地よく耳に馴染みます。見た目も、声も愛らしい。狼の心臓は、痛いくらい鼓動を刻んでいます。
「こんなとれーやつが、何しに来た」
怯えた少年の顔を見上げながら、狼は心の中で自分を思いきり殴り倒していました。オレの言いたいのはこんなことじゃねー。もっと、優しく気の利いた事を言えないのかよ! しかし、人付き合いが悪い狼に、コミュニケーションスキルはありません。自責の念がますます目つきを悪くしていることに気が付かないまま、狼はさらに脳内で自分を張り倒していました。
ツンデレ獄。ツンデレさんは、リアルで会ったらお互い大変だと思います。
狼視点は文字をピンクに変えようかと思ったのですが、それは流石に止めました。出来れば心の目で桃色に見ていただけると有難いです。
その時光が弾けた~以降の段落は、谷山浩子さんの名曲「デザートムーン」のパクリです。この話自体がパクリですけどね。もっと上手に取り入れたかったです。