悲しみと痛みと温かさが交錯する、子どもの記録
言葉で人生をひらくナビゲーター、Yokoです。
2009年に私が作った本の一つです。
(西村滋著 講談社刊)
本の帯コピーは私が作ったものです。
小学校高学年以上向けの児童書扱いなのですが、
大人に読んでいただきたい本です。
自らも天涯孤独の孤児だった、養護施設の指導員「三日月先生」が、
敗戦直後の東京で出会った戦災孤児を振り返る3つの物語。
どのお話も、ていねいに言葉を選んで書かれています。
子どもたちの境遇があまりに悲しく、あまりに優しい大人たちばかりなので、
読み始めはちょっとあざといかな、という印象を持たれるかもしれません。
でも、これはすべて実話なのです。
著者の西村滋さん(故人)が、本当に体験し、本当に見てきた子どもたちなのです。
こんなに苦痛に満ちた経験を、
幼い子どもたちに強いた。
それが戦争です。
本書にもありますが、戦争で酷い体験をした孤児の一人のセリフがこれです。
「戦争孤児が、マジメでリッパに更生したら、戦争の好きな奴らは、人間なんて、いくらいじめてもヘコたれないからと、安心して、また戦争をおっぱじめるにきまってる。だからオレはまじめになんかならないぜ」
この子は実際、反社会的な人間に成りはて、若くして命を失ったそうです。
私たち戦後生まれの大人は、その事実の前に呆然と立ち尽くすしかありません。
ですから、私は、
戦争こそ浄化のために最も良い方法だ、というような発言をする政治家を、許すことはできません。
事実を言葉にして残す場合、ルポルタージュのようにジャーナリスティックな書き方をしなくてもよいのです。
残酷な事実を、問題を考えて欲しい人たちにどう伝えるか。
どういう表現がもっとも伝わるか。
西村さんはそれを考え抜いて、童話という形式を選びました。
これからまとまった文章を書いて、世に問いたいと考えている方。
表現方法は一つではありません。
ご自身に合った、ターゲットに届く方法を見つけてください。
もし何かを書きたいとお考えでしたら、私が原稿アップまで伴走することもできます。
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