美術作品を言葉で表すということ
言葉で人生をひらくナビゲーター、Yokoです。
今日、念願の「クリムト展」に行って来ました。連れは大学生の娘です。
彼女は、芸術学を学ぶために藝大を目指していたのですが、夢破れて、今はどういうわけか日本文学の学科に在籍しています。
娘と展覧会に行くメリットは、かなり深い鑑賞をしてお互いに感想を言い合えるところです。
娘は浪人時代、予備校で芸術学科受験独特の勉強をしていました。
センター試験の準備ももちろんありましたが、受験のキモは2次試験です。
これが、大人の私も歯が立たないほど難しいのです(T_T)
英語は美術の専門書から引用してきた長文。
そして、小論文は特殊な技能を要します。
娘が山ほど書かされた小論文には、大まかに分けて2種類ありました。
一つは、抽象的なテーマについて論じるもの。
もう一つは「ディスクリプション」と呼ばれるタイプの記述問題です。
ディスクリプションでは、ある芸術作品を一定時間鑑賞し、その後別室に移って小論文を書きます。
ディスクリプションは、感想文ではありません。
何が
どのように描かれて(あるいは作られて)いるか
どの技法が使われているか
それはどのような効果を生んでいるか
を順序立てて書かねばならないのです。
気をつけねばならないのは、書かれているものの表象的な意味を書くこともできない点です。
例えば、黒は僧侶の色、青は聖母の色、といったような、シンボリックな意味を書いても得点となりません。
技術と構図と対象物、
それらの醸し出す効果
が全てなのです。
これは、文章を書く技術としてはかなり高度です。
なんとなく、が許されないのですから。
3浪した娘は、このディスクリプションを死ぬほど書かされ、最初は泣いていました。
でも、しばらくすると、ディスクリプションを得意中の得意とするようになったのです。
文章を書くのが遅く、言葉を選ぶのに一苦労していた娘が、山ほど練習しているうち「どんなテーマでもどんと来い!」と言えるまでに成長しました。
皆さんにディスクリプションをやれ、とは申しませんが、もし展覧会に行く機会があったら文章を書いてみて下さい。
どれか一つ、気に入った作品についてメモを取り、それについて短文を書いてみると勉強になると思います。