こんばんは。

人間科学の専門家として総合病院ではたらく臨床心理士、五十嵐です。

 

年末年始に年賀状を通してふりかえったことを少しずつ記しています。

年賀状を通して、普段お会いできることが少ない先生方にご報告したかったことはなにか。

それは、やはり、今年は臨床心理士になって10年が経つということでした。
この10年は、ずっとまっすぐな道だったわけではないことを思い出しました。

 

今、私は総合病院で働く臨床心理士です。

しかし、大学院修士課程のとき、私は将来どんな現場で働くのか、とても悩んでいました。

 

 

臨床心理士を志した当初は、学校現場で働く臨床心理士になりたいと思っていました。

不登校で悩む児童・生徒や、さまざまなことで苦痛を感じる子どもたちの支援ができたら、そんな気持ちが臨床心理士を目指したきかっけだったのです。

だから、大学院生のときには、小学校や中学校に出向く実習に果敢に応募しました。

(「果敢に」というのは、実習は希望したところにいつも行けるわけではなかったからです)

 

一方で、成人の心のお悩みや精神疾患のケアをする病院で働く臨床心理士についても興味がありました。

特に、人前で話をしたり、人とのコミュニケーションをとることに苦手さを感じる「社交不安障害」という不安障害の治療に関する研究に、大学の学部生のころから一貫して取り組んでいました。

なぜ、人は「不安」を感じるのか。

なぜ、「不安」が維持されるのか。

どうしたら、「不安」の維持を改善してゆくことができるのか。

そんなことを先行研究から知ること、そして、自分の研究で新しいことを知ることが面白かったのです。

 

そして、もうひとつ、興味を持った分野がありました。

それは、病院で身体の病気をもった患者さんの心のケアをすることです。

これは、大学院生修士課程のときに家族ががんに罹患した体験が、私に大きな影響を与えたものです。

こんなに大変でつらいことを患者さんや家族が乗り越えねばならないのか、ということを身をもって体験し、自分に何かできることはないのだろうか、という考えに至らないわけがありませんでした。

 

 

こうしてみると、この時は全部、ばらばら、でしたね。

学校に自分が働く場を探すのか?

病院に自分が働く場を探すのか?

自分は、どの舟に乗って進んでいくのか?

大学院修士課程のときは、大きく悩んでいました。

 

だからこそ、

「やりたいと思ったことはやってみる」

「どの舟にも、まずは、乗ってみよう」

そんな風に取り組んでいたようにいま振り返ると思います。

私が所属していた大学院は、当時、病院に実習に行けるところが少なかったので、先輩にお願いをして見学や実習にお邪魔しました。

学校にも病院にも、実習現場を求めていくつかのところにお世話になりました。

 

その結果、自分には学校現場で子どもの臨床に取り組むよりも、病院で大人の方のお悩みに取り組む方が向いているのではないか、という結論に至りました。

これに気づいたときは、かなり驚き、衝撃でした。

それまでずっと抱いてきた気持ちは、なんだったのだろうか?と思ったこともありました。

少し、ショックでもありました。

何度も何度も考えなおしました。

しかし、現場を「体験」して得た自分の「感じたこと」は、まぎれもなく、その答えを導いていました。

今でもそう思います。

 

 

そう、迷子だった私を救ってくれたのは、「体験」でした。

ここまで、なんとなく歩んで、なんとなく選択してきたわけではなく、やはり自分は、「体験」をもとにしてきました。

体験」したことで、自分が何を「感じた」のか。

その「感じたこと」を大切にして選択してきました。

 

この春に大学院修士課程を卒業する、臨床心理士を目指す学生さんたちも、現在、目下就職活動中だと思います。

臨床心理士資格はまだ未取得での就職となることで、望みどおりの就職は難しい方がほとんどかもしれません。

興味がある分野や取り組んでみたいことがあったら、それを「少しでもいいから」体験できるところに応募してもらえたら、と思います。

常勤職を得るのが難しく、非常勤の掛け持ちになるかもしれません。

もちろん大変なこともあるけれど、それは、「体験」できることが増えて、よい機会になると私は思います。

そのままその道に進むかもしれないし、角を曲がるかもしれない。

曲がりくねっていて、先が見えなくて不安になるかもしれない。

でも、「体験」してみて、感じることが必ずあるはずです。

それはそれで、必ず、貴重な学びになるはずです。

 

いつもお読み下さり、ありがとうございます。

 

関連記事:振り返りのプロローグ。

       「体験」を創造し、配置する。

 

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