スナック・ちろりん そのイチ | クラブ脱皮・麗しきネタ人生・精神的貴族生活

クラブ脱皮・麗しきネタ人生・精神的貴族生活

毎日が退屈? いえいえ、ちょっと視点を変えたら、ネタはどこにでも転がっています。
辛いことが起きた? 一旦嘆いてからそれをネタにしてしまおう。
そうやって、「器の小さな自分」から脱皮していこう。
貴族は生まれてきた星。 精神的貴族になるには自分の手で。



今日はお客さん、アンタだけみたい。
ま、一杯おごるから隣座ってよ。

今日は特別、アタシの身の上話をしたげるわ。
え?なに遠慮してんのよ。アンタ、アタシに惚れてここ通ってんでしょ? わかってんのよ。だから聞かせたげるわ。

アタシはね、どういう訳か「昔、突っ張ってたでしょう?」て言われるのよ。 そうそう、スカート長くて横浜銀蠅とか聞いてたクチってね。 あ、銀蠅のタクちゃんはお友達だから好きよ? でも、子供のころからアタシは親父の強要でクラッシックばっか聞かされて育って、グレたりするヒマなかったのよ。

新宿のど真ん中にあった(お化け)屋敷にね、そう、大きな枝垂れ柳が格子戸を半分覆うようなボロ屋敷よ、そこにね、ピッカピカのピアノなんか入れちゃってさ。畳が重みで沈んでいたわよ。
毎日練習させられてたわ。 親父が横に付きっ切りになってね。

え?親父は北海道の田舎の寺の息子よ。ピアノだのフレンチ料理だの、そんなオサレなもんに縁がなく育ったのよ。 
音楽なんて、「起床ラッパ」といって、朝にブーー!と屁こくくらいしか音なんかならせないわ。
今思うと、楽譜なんかも読めなかったんじゃないかな?と思うんだけどね、でもオッカナイ顔して練習見てたのよ。

弾き間違えたら一々怒ってさ・・・・だからピアノなんか大嫌いになったわよ。
あ、まかないだけど、これ食べる? アタシが作ったマグロの漬け丼よ。美味しいわよ~。


そうそう、それでね、夜は毎晩クラッシックレコードをかけっぱなしにするの。
なんとかクラッシック全集とかいうので、日替わりでバロックだったり交響曲だったりバイオリンソロだったりするのよ。

アタシはなぜか、バロックミュージックが大好きでさ。
バッハなんか、成長期の細胞に染み込んでいるわよ。 そう、'骨の一部はバッハでできてんのよ、きっと。
でも、交響曲とかのさ、シンバルとかジャーン!なんて鳴ったりするのが苦手で。きっと寝るときに聞かされてたから音でビックリすんのよね。

考えてもみてよ。

寝るときに



はげ山の一夜


なんか聞かされてみ?


親父は田舎モンゆえに、クラッシック=なんでも情操教育にヨシ、とか思ってたんじゃないかしらね。
まあ、おかげでアタシは色々な音の聞き分けは得意になったけど。
・・・そんな思い出がアタシにはあんのよ。
今日は親父の命日なんでね、ちょっと思い出したの。

お代はいいわ。 アタシのおごりって言ったでしょ。
また来てよね。