友人Tは、絶対にうちに遊びに来ない。
なぜなら、うちには世にも恐ろしい番犬
がいるから。
全く吠えず、どちらかと言うと怖がりの番犬なんですけどね。
なんでも子供の頃、柴犬に噛まれて以来、全く犬がダメなんだそうです。
メッタメタに噛まれたのかというと、そうではなく、鼻の頭あたりをハグっとされた、とか。 それ、噛まれたうちに入るのかね?
ま、とにかく、それ以来、犬は恐怖の’対象になってるらしいよ。
それ聞いて、ワシは「うーーーーーーーん」と唸ったね。
だって、ワシ、3歳の時に、隣の犬に顔噛み付かれたまま振り回されたんだよね。
はれ、犬ってナンか噛み付いてガウガウって振り回すでしょ?アレよ。
で、血だるまになっているところを近所のオジちゃんに助けられて、病院連れていかれたの。
未だに上唇の所に傷あるよ。
その翌日、ワシはめげずにまた隣に犬のところに遊びに行ったのよ。 包帯顔にぐるぐる巻きのまま。
いっつも遊んでいたのよ、その犬と。 今思うと、噛み付いた時はきっと発情期かなんかで気が立っていたんじゃないかと思う。そんなこたぁガキのワシは知らないって。
んで、「くぬやろ!またきやがったな!」と、また右手を噛み付かれて、’もげるくらい振り回されているところを、また近所のオジちゃんに助けられて、病院連れていかれたの。
その時は、さすがに傷が深くて3日間入院したんだわ。
そんな経験があったら、その後それがトラウマになり、立派な「犬嫌い」になりそうなもんだけど、ワシはならなかった。
一方ではチョロっと舐められた程度でトラウマに。
もう一方では「もう人生ダメだ」というくらい顔を噛まれてもトラウマになってない。
そのへんの境界線は一体なんなんだろう・・・と、ワシは膝の上でトグロ巻いている番犬を眺めながら考えているところよ。
ぢゃ。