映画「ダムマネー ウォール街を狙え」のdumb money(1)は「愚かな金」という意味である。
映画の中では「どうやってそんな大金を稼いだのか」と問われた大金持ちが
「ダムマネーを奪ったのさ」と答えるシーンがある。
(記憶で書いているので多分ちょっと違う)
金持ち連中は「空売り」攻勢をかけ、
小口投資家はゲームストップの株を買い支えようとするという攻防戦が描かれる。
この仕組みがよく分からないのでインターネットで調べると
手持ちの株式を売ることを「現物の売り」というのに対して、
手元に持っていない株式を、
信用取引などを利用して「借りて売る」ことを指します。
株価が高く、これから下がることが予想されるときに空売りをして、
その後予想通り株価が下落したところで買い戻して利益を得るものです。
空売りのせいで潰された会社の話が出てきたりするので、
買い戻すというのがどう儲けになるのか分からない。
https://www.smbcnikko.co.jp/products/stock/margin/knowledge/012.html
を読んで何とか分かった気になった。
まあよく分からんけど要するに金持ち対貧乏人の闘いだと思って見ていた。
実話をもとにしているそうである。
オフィシャルサイトからコピーさせてもらうと
2021年初頭、アメリカの金融マーケットが激震する前代未聞の大事件が発生した。
ネット掲示板に集った小口の個人投資家たちが、
時代遅れで倒産間近と囁かれていたゲームストップ社
(実店舗によるゲームソフトの小売り企業)の株をこぞって買いまくり、
同社を空売りしていたヘッジファンドに大損害を与えたのだ。
アメリカ各地に点在する無力な一般市民がSNSを通じて団結し、
強欲なウォール街の大富豪にギャフンと言わせたこの反乱劇は、
全米を揺るがす社会現象となり、日本でも大きな反響を呼んだ。
だそうだ。
全然知らなかった。
映画はエンターテインメント作品としてよくできている。
主演のポール・ダノは何となく愛嬌があるし。
でも映画の中で描かれるゲームストップ社というのが
そんなに良い会社だとも思えないので、
そこまで肩入れする気が知れない。
大金持ちをギャフンといわせたのはそれなりに痛快でも、
結局ハゲタカに狙われた会社を守ってあげたというだけのことか、と思った。
「バカ」つながりで、ふと思い出したのは「バカ塗りの娘」だ。
「バカ塗り」とは津軽塗のことで、塗っては研ぐを繰り返すこと48工程もあるそうだ。
寡黙な職人を小林薫、その娘を堀田真由が演じている。
仕事のことしか頭にない小林に愛想をつかし母は家を出て、
兄は家業を継がずに美容師になった。
堀田が演じているのは孤独で不器用ながら、
先細りの漆塗りの未来を開くような大胆な挑戦をする女性である。
それほど堀田真由という人に注目してこなかったが、
いかにも父同様不器用な職人気質の娘という役柄に
堀田真由の個性が絶妙にブレンドされて、
映画全体に、簡単に揺るがず底光りするような、まさに津軽塗のようなトーンを生んでいた。
スマホでポチッと大金をつぎ込めば、時々刻々変動する株価。
そういった数字の電脳空間が世界を動かしているのかもしれない。
しかし黙々とバカ塗りを続けることを誰もがやめてしまったら、
世界から「人間」が消えてしまうだろう。
それにしても小林薫という人は昔から職人役が多いな。
このブログはあまりにも「日本人は職人が好き」という俗説通りで恐縮だが、
デジタル・ネイティヴが社会の中核になるころ
日本はどうなっているのだろう?
(1)dumbの意味を問われたら、ふつう「物の言えない 口のきけない」という意味だと答えられれば十分だ。しかし、「ジーニアス英和大辞典」では5番目に「《主に米略式》