さてもう一方の『リバー、流れないでよ』はヨーロッパ企画が制作した映画第二作ですが、タイムループものです。(これは知ってる人はとばしてもらったらいいんですが)、ヨーロッパ企画というのは企画会社じゃなくて、京都を拠点とする人気劇団です。コメディーばかりをやっていますが、特にタイムトラベルものが十八番です。映画化された作品としては上野樹里が出ていた『サマータイムマシン・ブルース』(2005年)、長澤まさみ主演の『曲がれ!スプーン』(2009年)などがあります。ぼくは『サマータイムマシン・ブルース』を見てから徐々にヨーロッパ企画に興味を持ちだしたクチですね。演劇をやっていた人たちが自分たちで映画も作り出したわけですね。
 舞台は貴船にある料理旅館ふじやとすぐ近くの貴船神社です。貴船川の畔に佇んでいたふじやの仲居ミコトが、呼ばれて旅館の中に入り、客が帰った後の片付けをやっているとなぜかもとの川べりに戻ってしまいます。何度か同じ事を繰り返すうちに、旅館の従業員も客も2分間過去にもどるというループを繰り返しているということが分かります。時間は戻っても記憶は残ります。何とかこのループから抜け出そうとみんなで話し合ったりしますが、それぞれの思いがずれてきだしてドタバタし始めます。
 

 

 

2分間時間がまき戻るだけのはずですが、雪が積もっていたりいなかったり。これは妙だと思ったのですが、『リバー、流れないでよ』のホームページを見ると、「貴船の世界線が少しずつバグを起こす」ということらしいですが、本当かな?映画のホームページを見ると、強烈な寒波で2023年1月に始めた撮影はいったん中止し、2月から3月に追撮して完成という経過をたどったとのことです。1月撮影分が雪の貴船で追撮は雪のない貴船だったんでしょうか。まあ文句は言えません。貴船の冬、相当に厳しいようですね。ご苦労様でした。DVDが出たら雪のあるシーン、ないシーンをじっくり観察して研究論文でも書けそう。
 出演者はもちろんヨーロッパ企画の面々です。ヨーロッパ企画というと野郎ばかりの劇団で、客演で可愛い女優さんや普通の女優さんが少し出ているな、という感じでしたが、主演の藤谷理子さんは2年前にヨーロッパ企画に入団されたとか。ほかに旅館の女将に京都在住の本上まなみさん、久保史緒里さんなども出演されています。
 ヨーロッパ企画の作品なのでまちがいなく面白い作品です。この作品を見て面白いなと思ったら、舞台も見に行って下さい。「切り裂かないけど攫いはするジャック」の公演が9月9日から始まります。最近ヨーロッパ企画の人気が高まりすぎで、チケット料金も土日一般が6000円と高くなってしまったのは残念ですが、栗東きさらでのプレビュー公演は3000円です。さらに25周年記念興行と銘打った「きっと、私UFOを見た。」は何とあの南座で公演があるんですよ。ホームページでチェックしてみて下さい。