昨日movix京都で『一秒前の彼』、京都シネマで『リバー、流れないでよ』と京都を舞台にしたタイムトラベルものの映画を見ました。うーん、こんなチャンスはめったにないですよ。何のチャンスかよく分からないけれど。
『一秒先の彼』は何をするのも人より早すぎる皇一(すめらぎ はじめ)が或る朝目覚めると、日曜のはずが月曜になっていたという不可思議な現象を体験します。一方何をするのも遅すぎる長宗我部麗華(ちょうそかべ れいか)が目覚めると世界は止まっています。時間が止まってしまった世界の話は、昔アメリカ製のテレビドラマ『トワイライト ゾーン』で見たものをわりと覚えています。時間が動き出すときに元の位置に戻っていないと、もといた世界に戻れないというルールがサスペンスを盛り上げていましたが、本作も本作の元になった台湾映画の『一秒先の彼女』でもそういった縛りはなくて、ロマンスの方に重点があります。『一秒先の彼女』。そうです、リメイクに際して男女の設定を入れ替えたわけです。監督の山下敦弘は、「ある日、男女を反転させるというアイデアが、飛び出したことで、自然と"岡田将生”と”清原果耶”が頭に浮かびました。」とパンフレットで語っています。この素晴らしいキャスティングが実現して本当に良かったと思います。
監督、キャストとくればもう一つの重要なファクターは宮藤官九郎の脚本です。とにかく笑えるネタ満載の楽しさ。ハジメの妹(片山友希)がガングロ、っていつの話だろう。ハジメが惹かれるストリート・ミュージシャン(福室莉音)が「京都、大原、三千院……」と歌うのは懐かしい昭和歌謡の世界。調べると、オリジナルは1965年にデュークエイセスのヒット曲「女ひとり」です。出だしは誰でも知ってるけれど、タイトルが出てこない、という、わりとクイズで出てきそうなパターンの曲です。あまりにも露骨なご当地感の強調がおかしい。そのほかこれも懐かしいチェリッシュの「なのに貴方は京都へ行くの」(1971年)も歌われます。このあたり若い人が見たらどう思うのでしょうか。また、亡くなられた笑瓶さんがラジオのパーソナリティとして声の出演をされているのを耳にすると、少し前に引き戻されます。
脚本があまりにも自由にタイムタラベルしています。