フランス, アルザスワイン365日記 -110ページ目

フランス, アルザスワイン365日記

フランス、アルザス在住言語学博士
★アルザス生活の中の日々の徒然
★アルザスワイン、ワイナリーに関する記事を執筆中

フランス、アルザスより。

 

先日、こんなご時世で、フランス、ラン国立オペラ劇場のオペラ『ヘンゼルとグレーテル』へのエキストラ出演が決まった…という話を書いた。

 


こんなご時世だったからこそ、得た仕事だった。(詳しくは↑の記事で…)
演目は誰でもが知るおとぎ話『ヘンゼルとグレーテル』クリスマス時期の定番のオペラでもある。
海外に住んで居ると、偶に不思議な体験や貴重な体験をすることがある。
 
海外にいて、日本人を探していたり、アジア人を探していて、その関係で偶々映画に出たり、テレビに出たりなんてこともある。
私の多くの知り合いのフランス人の子達も、日本に行くと、外国人が出演する番組に出ていたり、日本で「モデル」として活動している子もいる。
 
また、「日本語ができるフランス人の知り合いいませんか?」
なんてお問い合わせがあって、知り合いのフランス人の子が日本のテレビに出た、なんてこともある。
 
海外にいたり、逆に言語ができたりすると、そういう経験ができることもある。
 
私が元々オペラ劇場の仕事に就いたのは、2年前日本のオペラ『金閣寺』の際に日本人、アジア人のエキストラ募集をしていて、その募集に応募したのがきっかけだった。
 
その際には残念ながら落ちてしまったのだが、今回は新型コロナウイルスの影響で外出禁止となり、子供が舞台に上がれなくなったようで、「背の低い、子供の代役」としての急遽エキストラ探しだったようだ。その際、前回の履歴書が残っていたようで、今回お声が掛かった。

そして、受かるかどうかも分からなかったけれど、せっかくなのでキャステイングに行って、出演が決定した。
 
エキストラ募集は10人。その10人それぞれ異なる衣装で、そして、「マスク」を被る。顔は見えないけれど、だからこそ顔がアジア人でも受かったのかもしれない。
 
本来配役が決まっていた青年コーラスの子達用に既に衣装も作られていたので、恐らく背が一番重視されたことだったかと思う。

けれど、他のエキストラの子は、職業も、役者、ダンサーと言った子たちばかりだ。

だから、そんな中で自分が受かったことも不思議だし、そして、10人のエキストラの中でも意外と目立つ役だった。
 
「ヘンゼルとグレーテル」の演出も、時代設定が現代に近く、お菓子の家もお菓子の家ではなく、遊園地のアトラクションのようになっている。だから、エキストラも遊園地にでもいそうな、サーカスなどにいそうな、そんな格好だ。
 
まさかフランスの国立オペラ劇場の舞台に立てるとは・・・
そんな想いだったが、残念ながら、新型コロナウイルスの影響で、夜間外出禁止、そして劇場、映画館などはあと3週間閉館が決まってしまった。
 
けれど、こんな状況なので、動画で世界的に配信されることになった。

観客の前で、演じてみたかったし、ちゃんとお客様の反応もみたかった。
けれど、それができない代わりに、日本にいる人にも観てもらうことができる。
オペラなんて、と思っている人にも、楽しんでもらえるような、子供も分かるオペラだ。
 
こんなご時世だからこそ、本来は劇場に行かなければ観られないこういう演目も、日本にいながらでも観られるというのは有難いことだと思う。

そして自分が出演したオペラを観ることができるのも有難い。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
この・・・左端にいる頭でっかちのヤツが私だ。
舞台上では結構端っこにいることが多いが、出演はこうして一人でひょっこり出てくるような、そんな役柄だ。
 
舞台上の写真なんて、エキストラにフォーカスされているものなんてないと思っていたのだが、なぜか、自分の写真も掲載されていた。

可愛くない、どちらかというと、三枚目というか、ヒールというか、そんな感じの役柄だが、それが返って10人の中のエキストラでもかなり目立つ役柄でもあって、お陰で、こうして記念の一枚を得ることができた。
 
前にいる現代的な二人がヘンゼルとグレーテル。後ろにいるのがエキストラ。
皆お面をかぶっているが、私のイメージのエキストラはやっぱりこうして大勢の中に一人、というイメージだったが、皆それぞれに各場所でひょこひょこ出てきていい味を出している。
 
もちろん、この役の決め手は「背」なのだが、同じ位背の低い子は数人いたので、それだけではない、何かあったのかもしれないが、それも今では分からない。とにかく、ほんの一瞬のようでもあり、ものすごく長い時間にも感じながら、出るべきところで、舞台に出て、引っ込むところで引っ込み、舞台演出通りに動く。この舞台のエキストラは舞台上でのちょっとしたスパイス的な感じで、そして、私の役はそんな中でも一人群れずにひょこひょこ出てくる・・・。実際の私も群れたりできず、一人ひょこひょこしているので、実際の自分に似た役柄だったなという気がする。
photos : Klara Beck
 
 
こんなご時世だから、できること、こんなご時世だからできないこと・・・あとは考え方だと思う。
本来決まっていた色んな仕事ができなくなってもいたし、多くの仕事がキャンセルにもなった。
 
私が通常している仕事は、移動も多く、展示会の仕事だったり、通訳だったりもするが、展示会はすべてキャンセル。いつ次回の展示会がいつまた開催されるかもわからない。
 
通訳も、このご時世なら日本から来られる方も少なく、通訳の仕事も全くなくなってしまった。
そう考えると、結構大変な状況でもある。
 
けれど、じゃあ、その状況で、そのままでいるのか、他のことをしようと少し道を外れてみるか・・・
そんな風に他に目を向けたりすると、こうして得る外の仕事もある。こんな経験、普通ならできることではない。
 
けれど、やっぱりこんなご時世で、最終的に観客を入れての上演ができなくなってしまった。

舞台に立つ上で、こんな悔しいことはない。が、そのせいで、逆にこのオペラが動画として残り、自分でも、そして自分の友人も見ることができる。
 
もちろん、通常に比べたら、全体的な仕事は減り、入ってくるお金も減っていたけれど、逆にこんなご時世でオンラインの仕事をしていたり、遠隔での仕事をしていたり、そして、こうして外出して、通いでしないといけない仕事もある。
 
フランスでは、アーテイストの人たちが劇場閉館の延期が決まり、デモも行われていた。
日本のニュースなどでは、やはりこのご時世で生活が困難な人たちも多くなっており、特に女性の自死が増加しているというニュースも見た。
 
本当に大変な状況だと思うのだが、そんな中で立ち止まってしまうのか、こんな中だからこそ、こんな時期だからこそできることをしようと努力をするのか…。
 
私も決して生活が楽なわけではない。
けれど、住処はあるので、それだけは本当に有難い。外出をしなければ、お金を使う事も少ないし、レストランもカフェも、そして映画館なども閉館なので、私の趣味のカフェ巡りや映画鑑賞があまりできない。だからお金を使う事が少ないという状況でもあるかもしれない。元々インドア派ではあったので、それも私にとっては多少外出禁止という状況が大変ではないとも言えるだろう。
 
経済も大変だし、けれど、やっぱり人の命や健康も大事だと思う。ここで持ちこたえるには、今までの現状に立ち止まっていないで、なにかしらこの状況に合うことをしないといけない、この状況に合わせた考え方にしていかないといけないのではないだろうかと思う。
 
通常の仕事が多くキャンセルになり、決して自分の今の状況が楽なわけではないが、この状況でできる仕事をいかにこなしていくか、この状況でできることをしていくか・・・。そしてこの状況でも悲観的にならないように、踏みとどまるのではなくて、別の道を歩いてみる。
 
今だからできること、今しかできないこともきっとあるはずなので、そこに目を向けるようにした。
この状況で、私はそれを心がけるようにしている。
 
動画公開は12月30日

こんなご時世だからこそ、多くの方にオペラに触れてもらえればと思うし、無料で動画配信されるなんて、このご時世ならではだと思う。日本にいながらでもフランスのオペラ鑑賞ができる、とても素敵な機会だと思う。【詳細はまた改めて】
 
海外旅行などもままならないけれど、だからこそできるこういう体験を有効に、そして少しでも明るく生きられるように・・・。
 
 
そう言えば・・・こんなご時世だったけれど、もう一つしていた仕事・・

アルザスクリスマスツリーのアンバサダーというのもしていた。お陰様で(?)今年はかなり早い時期にツリーも完売したそうだ。