甘口ワインと一口に言ってもその種類は限りなく多くまた奥深い、

ここではいわゆる「極甘口」に限ってつらつら書いてみます。

ちょっと専門的に言うと、甘口の多いドイツワインなら、

アイスヴァインかトロッケンベーレンアウスレーゼ

フランスならばソーテルヌ、ヴァンドパイユのほか

ヴァンドゥナチュレルのバニュルスなどもあります。

その他、ハンガリーのトカイ、カナダのアイスワイン、

イタリアのヴィンサント、ペドロヒメネスを使ったスペインのシェリー、

ポルトガルのポート(赤玉ポートじゃないよ!全く別ものですから)などなど。

 

甘口?いまいちかなー。とおっしゃる方は、思うに大半が、

これらを飲んだ経験がないのでは?と勝手に思っています。

恐らくが極甘ではなくジュースレベルの中程度の甘口であぁこんなもんかと・・。

もしもチョコレートも嫌い、アイスクリームも嫌い、

とにかく甘いのはダメというなら話は別ですのでスルーしてください。

 

今なぜ極甘なのかと言うと・・それは今がお買い得だからです。

ここ数年のインフレを思い出して下さい。物価相当上がりました。

ワインも例外ではありません、円安、燃料高騰、紛争などでの迂回輸送

ブルゴーニュなんかここ2~3年で1.5倍、モノによったら2倍以上、

比較的マシなボルドーでも1.2~1.5倍な感じとなっています。

 

が、がですよ、ソーテルヌなんかは感覚的には1.1倍程度??

多くのワインを精査した訳ではありませんのであくまで個人的感覚ですが、

そんなに上がったという印象が他と比べて今のところありません。

最も極甘ワインは元々がそんなに安いものは多くありませんが、

ソーテルヌの1級格のワインが今でも1万円台で買えますし、

世界最高峰とされるシャトーディケムでさえ5桁で買えるヴィンテージがあります。

 

同じ最高峰で言えばボルドーのシャトーペトリュス

コロナ前は50万とかそんなのが今では100万近い下手したら超えるとか、

ブルゴーニュのロマネコンティ

一昔前は100万と言われてたのが1000万とか(アホですか・・みたいな)

これら別格ワインはちょっと極端とは言え(投機的要素もありますので)、

まぁ一般的な価格帯のワインでもそうした傾向にあります。

 

高級貴腐ワインって、貴腐菌が綺麗についた粒を手摘みするので、

(房じゃないです、一粒一粒ですよ!)

普通のワインに比べて物凄く手間と労力がかかります。

それ故シャトーディケムなどは葡萄の樹1本から1年で造れるのは

たったの1本と言われ、しかもぶどうの出来に満足できなかった年、

例えば2012年などは1本も生産されていません。

そんな超絶面倒くさいワイン(失礼!)が

この超インフレ下でも10万円以下で手に入るというのは、

これひとえに需要と供給の関係によるものだと思っています。

やっぱり甘口って、正しく理解されてないというか、

飲まず嫌いな方、結構居るのかな~、と思っています。

隠れワイン家店主は極甘ワイン大好きです。

 

という訳でおススメをいくつかご紹介。

白ならばまずは絶対王者のボルドーの貴腐ワインです。

因みに世界三大貴腐ワインというのは、

ボルドーのソーテルヌ、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ、

ハンガリーのトカイですが、決してお手頃とは言えないので、

入門編としては、同じボルドーのサントクロワデュモンとかカディヤック産

その他では2000円台から入手できるペドロヒメネス種のシェリー

カテゴリーは白ですが酸化熟成により見た目は褐色です。

そして赤なら少しお高めですが希少な南フランスのバニュルスやモーリー

2000円位でも入手できる入門編ならトウニーポートがおすすめです。

(ポートも色調で色々ありますが店主好みはトウニーです)

 

そして飲み方ですが、それ自体がめちゃ旨なので勿論そのままも良いですが

ソーテルヌ系+ビターチョコレート=上質なレーズンチョコ

バニュルス系+ブラックチョコレート=濃厚な大人のチョコ

トウニーポート+バニラアイスクリーム=ラムレーズンアイス

(極甘シェリーでも代用できます)

自分オリジナルのスペシャルデザートの完成です。

 

そして最後に極甘口ならではの最大の長所、それは、長~く楽しめる です。

多くのワインは抜栓した直後から、安ワインなら翌日から、

高級なものでも1週間ぐらいで劣化が始まります。

正確にいうと酸化が始まり、酸化に品質がどこまで耐えられるか、です。

つまり長期熟成が前提の高級ワインは酸化に強く、劣化ではなく味わい変化、

飲み頃を保つ長短はワインによりますがやがて劣化が始まります。

一方で特にシェリーやポートは元々わざと酸化させて造っているため、

抜栓後もほぼ変わらず、数か月、下手したら1年でももつのではと思います。

 

かたやソーテルヌなど貴腐系ですが、酸化熟成による変化が長く楽しめます。

若いヴィンテージのものはレモンイエローの外観で糖蜜のような甘味

瓶熟成させて古いヴィンテージになると琥珀色になって蜂蜜、カラメル、

酸味なんかも出てきて極めて複雑で官能的になります。

シャトーディケムのグレートヴィンテージは100年熟成可能と言われています。

実際の話、2023年の元旦に実家に持参したシャトークーテ2009

(プロフィールトップの写真はシャトーのぶどう畑)

今年の正月にもまだ少し残っていたので1年越しで飲んでみましたが、

酸化がすすんでまた違った味わいが出てきた感じで美味しく飲めました。

 

という訳で、お酒あんまり強くないしなー、開けたらすぐ飲まなあかんしなー、

と躊躇されてる貴方。心配ご無用です。

ご自分のペースでチビチビとゆ~っくりお楽しみ頂けます。

因みにシャトークーテ2009年は約10000円のワインですが、

1年間楽しめると考えると・・、安いと思いませんか?(日割計算で・・笑)

シェリーやポートなら1日10円以下ですよ(何故日割?は今はおいといて)

皆が気づかないうちに、まぁ騙されたと思って、極甘わいん一度お試しあれ~。

 

Chateau Coutet 正門(2019年3月訪問時撮影)

ボルドーからローカル線でバルサック駅下車、徒歩10分程度

珍しくアクセス良好な立地で訪問にはおススメです(要予約問合)

 

幾つか試飲させていただいたうち希少な1989年もの(30年熟成)

これもなかなか印象的なスゴいワインでした