今でこそ「美味しんぼ」なんか最悪の反面教科書だとか言っちゃう私ですが、昔は読んでたわけで、その頃に知った部分の中で良かった部分を一つ紹介します。皮肉を書いて結局はけなす、ってわけじゃないですヨ。
 それは究極対至高対決の第1回、卵を使った前菜のくだりです。


 話は山岡が「ゆで卵トリュフソース」と言う料理を出し賞賛されますが、しかし次に海原雄山が出した「卵の黄身の味噌漬け」の方がもっと美味しく、なぜだ!と言うわけで雄山の解説。漬けた味噌についての説明はまあいいとして、「だが決定的なのは卵なのだ。」というわけで問題は卵。「初卵」を使ったと言う。


(単行本が手元に無いので、台詞はhttp://www.asahi-net.or.jp/~an4s-okd/private/bun/man00915.htm 及び記憶によって補正。意味はあってるはず)


山岡「トリュフソースの卵だって自然養鶏の卵を使った」


海原「自然養鶏といってもピンからキリまである。この卵の秘密は初卵であるということだ。初卵とは、ヒヨコが育って成熟して初めて産む。その卵のことだ。当然、初卵は一羽の鶏から一個だけ。そして初卵は鶏の体内に蓄積された栄養素の中で価値のある物が含まれて、珍重する人が多い」


山岡「そんなの迷信だ。科学的根拠に乏しい!


海原「なるほど。私もそう思う。だが、人間はどうやって初卵を手に入れるか。鶏を飼っている人間が一羽一羽ずっと注意深く見守っていなければ出来ないことだ。それほど注意深く育てられた鶏の卵は、初卵であろうとなかろうとその中身は素晴らしいに決まっている。完璧な健康状態にあるようにと見守られ続けた鶏の卵なのだからな」


 山岡が科学的根拠とな?プ、とか笑ってはいけません。これは山岡が言うから笑えるのであって、言ってる台詞自体はまともです。


 で、さすが雄山先生!素晴らしい説得力です。応用力もあります。試しに改変してみましょう。


だが、人間はどうやって無農薬野菜を手に入れるか。畑を作っている人間が一畝一畝ずっと注意深く見守っていなければ出来ないことだ。それほど注意深く育てられた野菜は、無農薬であろうとなかろうとその中身は素晴らしいに決まっている。完璧な健康状態にあるようにと見守られ続けた野菜なのだからな


 ・・・結局美味しんぼ批判になったか。

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