前のエントリに、西友の東側の住人さんから中国産の農産物の安全性についてどう思うか?と言うようなコメント を頂きました。ちょっとエントリに挙げて考えてみます。


 最初に予備知識ですが、日本が農産物を輸入している、その相手として最大の国はアメリカやオーストラリアなどではなくて中国です。なんと言っても近いのが最大の利点です。輸送コストが安く済みますので。
 この輸送コストには運賃はもちろんですが、輸送時間にかかわる農産物の劣化のリスクも含みます。運ぶ場所が遠ければ遠いほど当然痛みやすくなりますし、それへの対策を様々に採らなければいけなくなりますからね。


 で、以下に中国産の輸入食品のことを書きますが、前提として、ここで中国産と書いているものは「日本に輸入したもの」限定です。中国国内で消費されているものや、中国から日本以外へ輸出されたものは別とします。


 ところでいきなり違う話をしますが、日本の食料自給率は40%とか、とにかく低いとかよく言われますが、スーパーに行くと野菜や肉や魚はかなりの割合で国産ものですし、全て国産のものを揃えて献立を作るのも特に難しくはありません。
 そこだけを見ると自給率が低いとはあまり思えないのが生鮮食品売り場なのですが、じゃあどのあたりで海外産の農産物が使われているのかと言えば、大きいところでは牛や豚や鶏などの餌と、外食産業・加工食品です。


 加工食品や、外食産業・・・特に安さを売りにしているファミレスやファストフード店には想像以上に中国産の食品が入っていると思っていいです。加工食品についても、例の中国製ギョーザ事件の際に取り上げましたが 、当時天洋食品から冷凍ギョーザを仕入れていた会社は加ト吉や日本食研など相当数の企業に上り、中国製食品が思いのほか広範囲に浸透していることを示していました。


 ・・・と言って私は、日本の食卓は知らないうちにこんなに蝕まれてるぞ!危ないぞ!と言っているわけではありません(週刊誌なんかではよくある煽り方ですが)。むしろ逆に、あれだけイメージが悪い中国製食品がこんなにも世間に行き渡っているにもかかわらず、冷凍ギョーザ事件などわずかな例外を別にすれば意外なほどに健康被害など起きていない、それって中国製食品の安全性の高さを示してるんじゃね?と言っていいのではないでしょうか。

 あのギョーザ事件や冷凍いんげん事件がわずかな例外かよ!と思う人はいるかもしれませんが、実は普通の食中毒は国内で毎年3万人前後がかかり、しかも死者だって10人前後いたりします。
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/xls/nenji.xls
 それを考えると、3000ppmなんつうどえらい基準違反を犯した冷凍ギョーザ事件ですら死者が出ていないことを思えば、輸入中国食品全体でみてそう大したことではないと言えるんじゃないでしょうか。細菌やノロ(要するに、お腐れ)の方がよっぽど危険です。


 とはいえ、まだ感情的に中国産食品は不気味だ!と思うのは理解できます。正直私も中国には反感あります。というわけで、一つ考え方を変えてみるのはいかがでしょうか。
 どうするかというと、言葉遊びみたいですが、「中国産食品」と「中国製食品」を分けて考えるのです。どう違うかと言えば、中国産食品は中国の国内で作られたもの、中国製食品は中国人の手で作られたものとします。


 改めて考えてみれば、中国の食品が危ないと思えるのは中国で中国人が作っているから、なのではないでしょうか。とかいうと中国の人にえらい失礼に感じますが、正直ぶっちゃけ、そうでしょう。
 ところが今、日本に輸入されている中国野菜はかなりの部分が、日本の商社主導で栽培指導され、厳格に管理された中で作られているものです。農薬の使用なんかももちろん、しっかり指導されていて、トレーサビリティに関しては日本の農業以上です。


 つまりほとんど日本人が作っているわけです。作っている場所は確かに中国だけど日本人が作っている野菜、と考えればそれなりに安心できるんじゃないでしょうか?私個人は、中国人自身が勝手に作っている野菜は不安ですが、中国で日本人が作るならさほど不安ではありません。


 外国で橋を作った業者が韓国の会社だったら渡れないけど鹿島建設なら安心だ、と言うようなものです。どうでしょうか。