改正農地法が成立 企業の参入促す
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2009061790141351.html



 農地を借りる規制を大幅に緩和する改正農地法が、17日の参院本会議で賛成多数により可決、成立した。同法の目的を所有者保護から農地の有効利用に転換し、借地期間の制限を20年から50年に延長するなどして企業の参入を促す。政府は耕作放棄地の増大に歯止めをかけ、国内農業の活性化につなげる考えだ。12月に施行の見通し。


 改正法では1952年の制定以降、戦前の地主制度が復活しないよう明記してきた「耕作者による農地の所有が最も適当」との文言を初めて削除した。


 企業が借りられる農地を、市町村が指定した放棄地などに限る現行規制を撤廃。優良な農地も利用できるようにした。


 一方で、零細農家の経営を脅かすことを懸念した民主党からの修正要求で、農地を借りる企業は、経営陣の1人以上が農業に常に従事する義務を負う規定を設け、一定の歯止めをかけた。


 農業を主な業務とし、農地を所有できる「農業生産法人」に対する企業の出資は、1社当たり10%以下に規制していたが、企業の技術や販売網を生かす「農商工連携」を条件に50%未満に緩和した。


 また、企業による農地の所有規制は維持し、農業生産法人の条件を満たす必要があるとした。農地を違反転用した企業への罰金は、最高300万円から同1億円に引き上げた。


 農地を借りて農業に参入した企業は昨年9月までの過去6年間で320社。農林水産省は2010年度末までに500社に増やす目標を掲げていたが、同法の成立を受け、目標の上乗せを検討する。


(共同)



 要するに昔で言う地主が企業に取って代わると言うだけの話でしょうか。まあ違反転用に対する罰則も強化されたようですし、厳密に運用されるならそれなりにいいのでしょうが、問題は本当に厳密に運用されるかどうかで。


 そもそも、農業に参入したくてしょうがない企業って本当にそんなにいるのでしょうか。企業に参入させたら遊休農地の増加に歯止めがかかるとか、全く眉唾としか思えません。農業法人が、というならまだ分かりますがもともと農業法人は農地を借りられるし。
 資材置き場や廃棄物処理のために農地を取得したい企業が多いと言うなら理解できますがね。そういうのはちゃんと取り締まれよ。


 農業はとにかく、1年間の仕事量にムラのあるところが特徴です。私は冬は相当ヒマですが、春と秋は休みなんかありません。私は今の時期、振り返れば2ヶ月くらい休んでませんし、あと1ヶ月見渡しても休めるか怪しいです。仕事時間もムチャクチャ不定期です。
 そこに、労働基準法を守らせなければならない企業が参入するのはそもそも難しいかと思います。忙しい時期はまだいいです。人をたくさん雇えばいいので。問題は暇な時期に、そのたくさんの人たちに何をさせればいいのかです。派遣事業にしちゃって、冬はクビってことにしましょうか。
 そして売り上げについてもムラがムチャクチャにあります。制御不可能な要素である天候によって、同じ投資額であっても生産物の質も量も変化しますし、品質の維持に必要なのは主に人手です。
 そういう条件を、農業法人は農閑期に加工品を作るなどして埋めています。農家なら労基法なんか無視して働けばいいだけなので売り上げさえあれば冬はほっといても大丈夫です。参入企業はそこまで農業に入れ込めるでしょうか。


 現状、これまで農業に参入した企業のうち6割ほどは赤字だったそうです。儲けについて百姓などよりはるかに厳しい企業、特に大企業が農業に手を出すでしょうか。世界的な食糧事情を見るに、今だからこそ手を出す、と言う目線も無くは無いです。でもそれならいっそ日本なんかではなく東南アジアやオーストラリアなどでやったほうがまだ条件はいい気がします。


 日本農業の問題は若い人が参入しないことで、土地の貸し借りの問題など瑣末ごとに過ぎないと思います。意欲があっても農業機械が高くて買えないというならともかく、農地なんかは本当に借りようと思えば現状でもいくらでも借りられます。遊休農地がこれだけ拡大してるのに農地がないなんて矛盾もいいところです。農地法改正がそれほど大きな成果とはとても思えない。