今日も楽しく医療ブログ読んでいたら「勤務医 開業つれづれ日記」様 でこんな記事が


 はしか感染死、病院側に1審の10倍4400万円賠償命令
 元のニュース記事はこちら
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071206i215.htm?from=navr


 えーと、要約すると、


 9ヶ月の女児が喘息で入院した。隣のベッドにいた別の子は、はしかにかかっていた。
 はしかがうつるといけないので、医師は治療薬を使うことを提案したが、親が拒否した
 女児が退院後、はしかの症状が出た。再入院したがはしかから来る急性心筋炎で死亡。
 丸山昌一裁判長は「男児と接触して3日以内に投薬したら、二女の死亡を避けることができた」と医師の注意義務違反を認めて、病院に4400万円の支払いを命じた


 ・・・医師が悪い?(^^;注意義務違反って・・・
 普通に考えて、どこからどう見ても、医師は悪くないでしょ。この子の親と裁判官は狂ってるんじゃないの?
 つまりまあ、親がいくら拒否したとしてもそれでももっと強く治療薬を勧めなければいけなかったって事で、そんな判決を他でも見た覚えがありますが、強く強く勧めて予防接種して結局はしかにかかんなかったらそれはそれで訴えるヤツもいるし、もう行き場無しって感じですね。あー医者にならなくてよかった(もともと無理だけど)。


 ところで、テレビ番組に法律バラエティてのがありますよね。古くからはNHKでやってる「生活笑百科」てのがありますが、なんと言っても法律バラエティとして大成功したのが行列のできる法律相談所ですね。他局でも後追いで似たような番組を作りましたが、全て潰れて今は行列しか残ってない(笑百科はあるけど)。
 昔この番組については、お世辞にも身近とはいえなかった法律分野を楽しく紹介し、特に民法の世界では法律の解釈は一般に思われているほどガチガチではなく、一般的な理屈が通用する「常識の集大成」の世界である事(公序良俗なんかそういうことですよね)を紹介しているのはすごくいい事だと思ってました。


 ただその反面、この番組の影響で「どんな無理筋でもとりあえず訴える事は出来るんだ」との考えが広まり、妙な裁判も増えていると聞いたことがあります。確かに訴訟を起こす権利は誰にでも認められている人権の一つだし、無理筋だからと言って訴訟をさせないことは出来ない上に民事訴訟なら言い分次第で勝つこともなくはないのですが、それにしてもあまりの無理筋を押し通すのはやっぱりおかしいと思います。
 また、番組が時たま、無理筋を通すような見解を出したりするんですよね。この番組では複数の弁護士の見解が分かれるところがみそではあるのですが、例えば今日見たヤツ(12月9日)では、


・日払いのバイトで雇った男が、仕事を始めてから「こんなつらいと思わなかった」となんと3時間で辞めると言い出し、しかも3時間分の時給を寄越せと言い出した。


てな事例で。これが法的には、給料を貰う権利があるという。いや、そりゃ法曹としての見解はそうかもしれないけど、そもそもそんな請求する方がアホですよね。実際にこんなことするヤツがいるかどうか知りませんが、「この間のテレビで見たから、法的には俺が正しい」なんて言い出すのが増えたら胸糞悪いですよ。これが例えば、不当な理由で3時間で解雇されたとか言う話なら時給貰ってもいいと思いますけどね。


 まああれに出てる弁護士もピンキリで、沈着冷静と紹介される北村弁護士が実はかなり感情的で、しかも真実がどうこうではなく裁判に勝つために法廷戦術を駆使する人みたいだし、橋下弁護士にいたっては刑事弁護に対する見識が全く欠落している事が明らかになってるわけですが、これに出ている弁護士はほんとに有名になっちゃってますからね。普通の弁護士10人の話よりも橋下の方が圧倒的に影響力があるし。


 もちろんこの番組の悪い面だけを見て、止めろと言うつもりはないし、そんなこと言っちゃったら農薬批判なんかで繰り返されるリスクある・ないの2元的思考と同じになっちゃうんですが、そういう影響ももしかしたらあるかなと。とにかく今日のような問題設定はちょっとなーと思う。無理筋じゃない事件を扱って番組を作るのは無理じゃないと思うし


 話がずれましたが、本当に最近の医療裁判、面白いの変なのが多すぎますよ(^^;


koume