コメ業界は、全農の「仮渡し7000円」の大激震からものすごい混乱が続いていますが、私が見る限り、これは発狂している、としか思えないのが全農新潟です。全農新潟県本部の人間は全員が何かわけのわからないものに犯されたのでしょうか、地元に向けて核ミサイルを発射し続けているとしか思えない愚行をひたすら繰り返し、来年から新潟で米を作る農家が半分に激減したとしてもぜんぜん不思議とは思えない状況を作り出しています。


 さて全農が「これで行く」とばかりに切り出した仮渡し7000円がいかに非常識な額かは以前エントリ にしましたが、新潟でもそれに倣って一般コシヒカリを1万円としました。1万円なら(7000円よりは)高いと思われるかもしれませんが、新潟は事情が違います。


 もともとコメについて新潟県は全国のフラッグシップ的存在で、日本で最も高いコメは新潟魚沼産だというのが定評でした。この価格は品質やブランドイメージの下支えがあってのものですが、それらを長年の積み重ねで作ってきた新潟県農家の努力は評価されるべきと思います。新潟県では魚沼に引っ張られて、魚沼以外の米も、よその県よりはかなり高い価格がつけられていました。一般コシヒカリの価格だって、仮渡しで1万5千円だったのです。それが1万円ですから、たしかに7000円よりは高くとも前年比で見れば5000円引きだったのです。この下落幅はよそと比べても少なくありません。


 全農新潟は、仮渡しの大幅下落をコメ余りによるものとしましたが、それに対して特に、真面目に生産調整に取り組んでいる新潟のコメ農家は激怒しました。生産調整とは簡単に言えば、コメ余りが予想されるために最初から作るのを控えてくれと言う制度で、広く使われている言葉で言えば減反ですが、この減反面積は全農からほぼ一方的に押し付けられます。農家は米を作ることにモチベーションを感じていますから減反を押し付けられてもいい気など一つもしないのですが、粛々と応じたにもかかわらず余ったので価格を下げるとはどういうことかってなもんです。全農新潟の失策を全て農家に押し付ける卑怯な態度ですし、そもそも国内でコメが余ってるならまず意味無く輸入している35万トンの海外米をどうにかしろと言いたいところです。


 全農は「農家にとって厳しいことはわかるが、何とか理解してもらうしかない」と言っていましたが、噴飯ものです。理解してもらうしかないって、なにをどう理解すればいいのか。理解したらどうにかなるのか?そんな理屈が通るなら、「JAに支払うはずの農薬代や肥料代、機械代に修理費などを支払うことは出来ないが、何とか理解してもらいたい」って言いますよ。全農はこの理屈を否定することは出来ません。なにしろ本当に払えないんだから。新潟の農家はコメを売ったお金をすぐJA以外の口座に移して、JA宛のなんらかに支払いについては踏み倒すべきです。


 ただ、仮渡しの減額については、その後の調整支払いを多くして、かつ支払い時期を早めて、できる限り農家手取りを減らさないように努力すると言う「言い訳」がついていました。私はこれに関しては最初から胡散臭い目で見ていて、自民党が掲げる公約みたいなもん程度にしか思っていませんでしたが、全農新潟はまたやりました。先日、全農新潟県本部は産地懇談会において、新潟県産コシヒカリの店頭小売価格を5キロ1980円とする構想を発表しました。これは普通に考えても安いですが、新潟県産米としては猛烈なダンピングです。


 もちろんこれには激しい非難が寄せられました。先にも書いたように、新潟県のコメは価格面において全国のトップを走るものであり、それでも売れる品質とブランド力をプライドにしていたはずです。また他の県については、新潟に追いつけ追い越せみたいな格好で、例えば「新潟県産のコメに負けないほど美味いが、価格は若干安い」みたいな売りが作れていた面があります。もちろん「新潟県産を上回る品質と価格」を目指すところもあり、いわば新潟県産米は高いところにある基準だったのです。


 それが、新潟県がなりふりかまわぬ値下げを行うなら、まあ(短期的には)売れるでしょうから、特に近県の他産地はそれを下回る価格をつけざるを得ないことにもなります。産地間の値下げ合戦が行われるわけですが、本来はそれを嫌っての全農組織であったはずです。懇親会ではある参加卸が「新潟の一人勝ちで良いのか、産地間調整はどうするのか」と詰め寄っています。


 だいたい、追加払いをする遥か前から(そもそも、刈り取りすらまだ全部終わったわけではない段階から)米の末端価格を大幅値引きすると言う宣言は、仮渡しの減額は販売リスクをヘッジするのが最大の目的であるという言い訳を完全に否定し、単なる買い取り価格の値引きであったと白状するも同然です。もちろん各農家は言い訳など信じていなかったでしょうが、それでもこれほどあからさまな態度に出てはいけない場面だと思います。言い訳は言い訳らしく突き通すべきでした。


 また、米の価格を下げられるなら米の品質もそれに応じたものにせざるを得なくなります。5キロ1980円ならそれ相応に手間を減らしたものしか作れません。ここに至って、新潟県産米の高品質やブランドイメージはメタメタに打ち壊され、自らを普通にそこら辺に転がっている安売り米と同じ位置に叩き落してしまいました。私が新潟県の農家だったら、全農新潟を財産権の侵害で訴えたいところです。


 JAが、米が売れなくなったと困った時、対策は非常に簡単です。いつも、すぐに値下げを考えます。何らかの工夫を凝らして価格を据え置きでとか、むしろ付加価値をつけて価格を上げるとか、普通の営業マンが持っているような感覚は一切ありません。そして値下げの方法は、農家に対して安い価格を一方的に押し付ける、これのみです。自分たちで何か努力するとか、組織や流通を見直してマージンを圧縮すると言う考えは1ミリもありません。


 ・・・とか書くと、怒るJA職員もいるかなとは思います。けどね、現在のJA渡しの米価格は米の再生産価格をはるかに下回っています。それに対してJA新潟中央会の職員には年2回のボーナスと年度末実績賞与が出ています。 農家を生活できないまでに叩き落しておいて、それで得た実績を年末調整で貰っているなんて、お前らはカスかゴミだ。ボーナス貰うなとは言わんが、農家をまともに生活できるようにしてからにしろ。


koume