JMM(Japan Mail Media)とは、作家の村上龍が主催する、金融・経済をメインテーマにすえたメールマガジンのことです。海外にいる識者からの現地レポートなど、分量がかなりあって読み応えがありますが、名物は毎週月曜に配信される月曜版で、どういうものかというと、村上龍が金融・経済・財政などに関して疑問に思ったことを、現役の金融マンなどに質問し、回答するというもので、質問される側の専門家たちは所属機関を離れた個人としての回答を寄せていて、面白いです。月曜版のバックナンバーは毎月第2水曜日に1か月分がまとめて更新されるという形でアップロードされています。
http://ryumurakami.jmm.co.jp/


 で、取り上げるのは一昨日7月2日の月曜版ではなくて先週6月25日の月曜版なのですが、「『医療格差』の解決に必要な考え方とは?」と題して、医療問題に対する各回答者の考え方が載っています。文章量が非常に多いので、一部を抜粋して紹介します。


 ====質問:村上龍============================================================


Q:816
 参院選の各党のマニュフェストには、「医療格差」への取り組みが盛り込まれるよ
うです。医師・看護師の不足、公立病院の閉鎖など医療における地域格差の解決には、
どのような考え方が必要なのでしょうか。


 ■ 土居丈朗  :慶應義塾大学経済学准助教授


 近年、過疎部地域の医師不足がさらに深刻化しているようです。過疎部地域の住民
はますます高齢化して、医療サービスの需要は増大していますが、その地域の人口減
少も相まって、医師(ないしはこれから医師になろうとする者)にとって必ずしも魅
力的な現場ではなくなっているといえます。


(以下略)


 ■ 真壁昭夫  :信州大学経済学部教授


 最近、医療に関する格差が顕在化しているという指摘を聞くことがあります。先
ず、医療に関する格差という現象を具体的に整理します。私の理解では、医療に関す
る格差は、大きく二つに分けることが出来ると思います。一つは、体の具合が悪くな
ったり、病気にかかったときに、お金が無くて病院に行くことが出来ない状況です。
これは、医療の問題というよりも経済的な格差によるものと考えられます。


(以下略)


 ■ 菊地正俊  :メリルリンチ日本証券 ストラテジスト


 7月29日に延期された参院選に向けて、各党はマニュフェストを発表しました。
マニュフェストに掲げた公約数や、医師不足対策の優先順位は政党によって異なりま
す。自民党は美しい国、日本に向けた155もの約束を発表しました。1番先に掲げ
られたのは、安倍首相がライフワークにする憲法改正でした。医師不足問題への対応
と地域医療の再構築は57番目の公約でした。番号が公約の優先順位を表すとはどこ
にも書かれていませんが、公約の掲載順位にある程度の意味はあると思います。


(以下略)


 ■ 山崎元   :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員


 直観的に言って、医療サービスの供給の絶対量が足りないのではないか、供給を満
たすためには、医療サービスの提供に関して、もっと多様な形態が必要ではないか、
というのが私の結論です。以下、数字は、「週刊ダイヤモンド」2007年4月7日
号の「衝撃の医療格差」という特集号から拾ったものをもとにしています。


(以下略)



 ・・・略しすぎてわけがわかんなくなっていますが(もし興味がある方がいらっしゃれば、私宛にメール(koumeあっとまーくpop06.odn.ne.jp)をいただければ全文をお送りいたします)、内容を読む限り、そうそう妙なことを言っている人はいなかったと思います。ただし、実際に医療崩壊の現場にいらっしゃる医師の方たちから見れば、すでに数週遅れのお話だといわざるを得ないようなものばかりですが。
 また私は個人的に、医療における最大の問題は、患者のモラル低下にあると考えているのですが、その点についての言及がなかったのは残念でした。まあ、それは地域の医療格差という設問に沿う解答ではないとは思いますが。


 ところで、医療問題はさすがに大きなトピックですので、この月曜版には読者投稿も多く寄せられ、追加発信が3つもありました。現場の医師からの投稿もありました。



 ■ 読者投稿:泉山昌洋 :田舎の病院長


 年金問題はもとより介護保険制度の矛盾と拙劣さがさまざまな議論をよんでいる昨
今ではありますが、先ずは無責任な制度改悪ばかりが目につく厚生(労働)省には事
前検証のない勝手な政策立案や制度変更をさせないことです。時計の針を逆に廻すの
はとても大変なことですが、医療における地域格差の解決にここでは医師初期研修制
度の廃止と医大定員の地元枠拡大を提起したいと思います。 


(以下略)


 ■ 読者投稿:匿名希望 :小児科医


「医療格差」の解決に必要な考え方とは? というテーマについて、興味深く拝見し
ています。私はある地方都市で10年以上小児科の勤務医をしております。常々感じ
ておりますことは、小児医療を担う人材が足りないから格差が生まれる、というのは
事実である一方、あまりにも安易に病院を受診しすぎているから足りないのではない
かとも思うのです。我々はときどき、コンビニみたいだな、と自嘲しております。


(以下略)


■ 読者投稿:中野玲二 :新生児科医


 私は現在海外在住の新生児科医です。一昨年まで東京のNICU(新生児集中治療
室)にて、主に勤務していました。ここ数年、メディアは医師不足や医療崩壊といっ
た言葉を使って、日本の医療の問題を報じることが増えています。しかし、現在の状
況を、いつの時期と比べて、医師や看護師、助産師が不足しているのか、医療が崩壊
しているのかといったことを報じているメディアは殆どありません。医師免許保有者
数と実際に患者さんを日常診療している医師数との間にある程度の差があることは当
然ですが、政府、厚生労働省は現在そのどちらの数も正確には把握できていないよう
です。私は医療行政の見通しの甘さを否定する気は全くありませんが、今の日本の医
療の問題を考えるときに、政府や日本医師会または医局などを仮想敵に安易に設定し
て議論することは、思考停止と等しい状態になってしまうと私は思います。仮想敵を
設定した場合、議論がヒステリックなものになりがちだからです。皮肉にも、責任者
(政策権限者)にとって最も嫌なことは、有権者にヒステリックな反応が起こること
ではなく、冷静な継続的な議論が広がることです。


(以下略)


 ■ 読者投稿:匿名希望 :医学部教員


 医療格差に関する議論、興味深く拝読しています。大学医学部の定員増という意見
をみて、大学医学部の現状をお伝えしたくなりました。


(以下略)



 ・・・まあこれも略しすぎですが、現場の声はやはり迫力があると言った感じでした。


 もちろん、一番迫力があるのは、現在進行形で毎日のように問題が語られ続けている、医師による医療ブログのほうで、いくつかなどはあまりの密度の濃さに唖然とするほどです。


 今回は、こういうのもありましたよという紹介ってことで。


koume


にほんブログ村 ニュースブログ 国内・地域ニュースへ or ranking

↑応援頂けると嬉しいです。