成田からシドニーに着いて、そのあとすぐに国内線でキャンベラまで行き、そこで待ち合わせたのは今回お世話になったホストファミリーの友達の方でした。現地の方で、一切日本語は喋れません。「外国に来た」と本当に感じたのはこのあたりからでしょうか。ここからしばらく、日本語は何の役にも立たないのです。


 さてキャンベラから、ホームステイ先までは車で移動です。前回書いたように、高速クルージングです。
 移動の途中で寄った、オーストラリア最初の食事の場所はなんとマクドナルドでした。当時、せっかくのオーストラリア最初の食事はなんか違うものが食いたいなあ・・・と思ったのは内緒です。ただまあ、オーストラリア限定メニューと思われる「Mac OZ」は結構美味しかったですよ。サイズが大きくて、ビーツなどの野菜がたくさん入ってるのが特徴です。


 さて今回はオーストラリアの農業について書きます。
羊1

 かの地の農業と言えば主流は牧畜です。羊、豚、牛、馬なんかが大量にいますが、特に羊が多いのは有名です。ホストファミリー家も牧畜を営んでいて、持ってる牧場の広さは300haと、日本の基準で見ればアホくさくなるくらい広大なのですが、後日行った別の農家など2500haもやっていてほとんど別世界です。ちなみにうちが作っている田んぼの面積は全部あわせて13haくらいです。向こうで栽培面積を尋ねられたときはほとんど惨めさすら感じました。もっとも内容が全然違うので比較にならないですが。

 牧場と言っても単なる荒野みたいな感じですが、ある程度の面積ごとに柵で仕切りがしてあります。どうも一定の期間ごとに羊たちを区画から区画へ移動させているようで、羊の群れの管理と牧草を食い尽くさせない管理の両方をかねた方法みたいですが、実行には膨大な面積が必要な事は言うまでもありません。何しろ、見渡す限り牧場ですから。

 牧場内で羊を追うのは、車と犬を使います。ランクルみたいな車も使いますが、バギーみたいなヤツで追うこともあります。これは乗ってみると、気持ちいいです。
バギー

 羊の毛刈りも見たし、体験もしました。プロはバリバリ刈っていくのですが(いろんな牧場を渡り歩くプロのジプシー毛刈りストみたいな集団がいる)、あまりにバリバリやりすぎて羊が怪我しています(^^;毛を刈られて丸裸になった羊は結構血だらけです。私たち素人はおっかなびっくりなのでろくに刈れませんが、羊自身は幸せかもしれません。
毛刈り

 牧畜以外では、プルーンやプラム、オレンジなどの畑を見てきました。向こうではプルーンやキウイなどなどのことを「ストーンフルーツ」と総称しているようです。見てびっくりだったのですが、ものすごい鈴生りで、枝がしなって折れそうなほどに生っています。聞いたら、間引きを一切しないのです。
すずなり

 日本では、品質を向上する為などの理由でごく一般的に間引きをする・・・というか絶対必須の技術ですが、オーストラリアでは「なんで間引きなんかするんだ?害虫が多いのか?」ってな感じでした。収量をひたすら多く求めるのが普通みたいです。それでもそれなりの品質の果物が出来るのはひとえにオーストラリアの気候によるもので、つまり高温と少雨です。ほとんど沙漠みたいなところで作るので、必然的に果物の水分が少なく、エキス分が凝縮して味の濃いものになります。それでも死ぬほど作るので、一つ一つの味はかなり薄くなって、はっきり言って美味しくないのですが、オーストラリアだからこそこれだけの程度で出来ていると言っていいでしょう。日本で同じことをやったら絶対にまともなものにはならないと、同行のT君は断言していました。


 米もわずかながら、リートンと言う街の近辺でのみ作っています。先ほども書きましたが、オーストラリアと言う国は全土が砂漠に近く、水資源が豊富とはとても言えないので、水をたくさん必要とする水稲は普及しなかったのが理由でしょうか。あるいは需要がなかったのかもしれませんが。
aus田んぼ

 リートンにはサンライスと言う会社があり、全ての米はここに集められ、乾燥調整・精米して販売されています。日本で言えばJAみたいな存在でしょうか。ただしサンライスでは新品種の研究などもしていて、JAよりはもっと専門的でなおかつ幅広くやっています。日本のJAみたいにスポーツカー販売や不動産業者の真似事なんかやっていません。
 ちなみにリートンの精米工場で動いていた機械は、日本の物が多いです。色彩選別機などもサタケ製で、さすが世界のサタケと言えます。


 ところで、現地で有名な日本人に、高須賀 譲という人(故人)がいます。日本ではあんまり有名ではないと思います。何をした人かと言うと、オーストラリアで米を作るために技術を伝え、特に灌漑事業に大きな貢献をした人です。サンライスでは彼の業績をまとめたパンフレット(日本語で作られたものがある)を見ることが出来ます。
 米作りはストーンフルーツと同じく大規模、超密植です。種まきは飛行機を使っての空中播種。害虫や病気が少ないので農薬を使う必要はさほどないとのことです。米の味ははっきり言って不味いです(^^;


 果物や野菜、米は日本にも輸出していますが、日本向けのものは選別に選別を重ねた最高のものばかりが送られます。日本で食べられるオーストラリア産の作物は、オーストラリア国内で流通しているものとかなり違い、オーストラリア人が日本の八百屋で見かけると驚くほどだそうです。高価格で売れるのでそれでもメリットは充分あるようですが。


 オーストラリアの農業は、全体的に見て、あまり品質を省みないところがあります。とにかくたくさんとれればいいのだという方針がはっきり見えます。ただ、それは高品質を求めるタイプの農業もやろうと思えば出来るということでもあって、逆に日本でオーストラリア型の農業をやろうと思っても不可能です。そのあたりはうらやましいですね。


 オーストラリアワインは一般的に濃厚で、カベルネ・ソーヴィニヨンやピノ・ノワールも果汁が凝縮してほとんどシラーズに近い(シラーズそのものはもっと濃い)ほどですが、実際にオーストラリアの農場をみればさもありなんって感じです。


koume



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