今朝の新聞でこれを読んで、めまいがしました。・・・と書くのに違和感を感じたのですが、めまいってするもんなんですか?
私が読んだのは地元の地方紙なのですが、まあもっと知名度の高い新聞で紹介。
読売新聞・医学部に地域勤務枠、卒業後へき地で10年…政府・与党
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070513it01.htm
めまいがしたのは、これがとんでもない制度だからだとか、意表を突かれたとかいう意味ではありません。こんなのは議論が活発な医療ブログではとっくの昔に検討が終わっている話題です。そこではこの方法の問題点も、それ以外にも様々に本当に役立つ議論が活発に行われていて、医師ではない私でも納得できる部分が多くあるのですが、政治家にしろ役人にしろこういった市井の声を一顧だにすることない態度には唖然とさせられます。
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政府・与党は12日、へき地や離島など地域の医師不足・偏在を解消するため、全国の大学の医学部に、卒業後10年程度はへき地など地域医療に従事することを条件とした「地域医療枠(仮称)」の新設を認める方針を固めた。
地域枠は、47都道府県ごとに年5人程度、全国で約250人の定員増を想定している。地域枠の学生には、授業料の免除といった優遇措置を設ける。
(中略)
医療行政に影響力を持つ自民党の丹羽総務会長は12日、新潟市内での講演で、「自治医大の制度を全国47都道府県の国公立大などに拡大したらどうか。5人ずつ増やせば、へき地での医師不足は間違いなく解消する」と述べ、“自治医大方式”の拡大を提案した。
医学部を卒業した学生にへき地勤務を義務づけることは当初、「職業選択の自由に抵触する恐れがある」との指摘もあった。だが、「入学前からへき地勤務を前提条件とし、在学中に学費貸与などで支援すれば、問題ない」と判断した。
(後略)
政府・与党は、医師不足問題に関する協議会で、「新たな医師確保対策」をまとめ、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)2007」にも新たな医師確保対策を盛り込む方針だ。
(2007年5月13日3時1分 読売新聞)
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先に一言書いておきますが、医学部の定員を増やすこと自体は必要な措置で、そこはひとつの改善があったと認めます。しかしまだ問題点が多すぎます。
私が今思いつく問題点を挙げると、
| 1. | 医師は「偏在」ではなく、全体的に足りない。記事では(略した部分にですが)東京には医師が多いというようなことが書いてあったが、東京でももちろん医療崩壊は進行している。僻地にだけ足りないのではなく、都会にも足りていない。 |
| 2. | 医師が足りないのは、各都道府県のつき1年あたり5人ずつなんていう小規模なものではなく、もっともっと遥かに足りない。 |
| 3. | これで増えるのは医師ではなく、あくまでも医学部の学生。要するに、彼らが医師となって僻地に派遣されるのは9年後(入学するのは来年度、大学6年、研修2年)。 |
| 4. | 9年後に医師が増えるとしても、増えた医師はあくまでも新米の医師。本来は、ベテラン医師から何年も指導を受けてやっと一人前になる。現在(僻地は特に)その指導医が足りなくて困っている。 |
| 5. | 新米に限らずだが、医師は基本的に僻地に行きたくない。というか医師に限らず誰にとっても都会のほうが便利だが、医師固有の事情としては、都会の方が患者の絶対数が多いので変わった症例等に当たりやすく勉強・経験の場所として都会病院の方が圧倒的に有利。若手医師の場合は特に、僻地での勤務は最も経験が身になる時期を無為に過ごすことになりかねない。 |
| 6. | 記事中にもあるが、医師個人の職業選択の自由(言うまでもなく、憲法で規定された国民の基本的人権)を奪う。それと単身赴任にしろ何にしろ、居住・移転の自由も奪う。ついでに、奴隷的拘束及び苦役からの自由・刑罰執行以外の意に反する使役禁止(これも基本的人権の一つ)に違反する恐れあり。もっとも最後のは、現在の医師が継続的に侵害されてる人権かもしんない。 |
| 7. | 仮に医師が増えたとしても、雇う側の病院に余裕がなければ、単に医師が余るだけとなるんじゃなかろうか。同時に診療報酬の改定を行い、もちろん値上げが行われなければならない。私見だが、インフォームドコンセントを医療行為と認定して医療費をつけるべきじゃないかと思う。 |
他にもいろいろあると思うんですが、非医師の私でさえこれくらい思いつきます。Yosyanさんのブログ でもちょうどエントリになっていますが、そこでは、貸与された学費など早々に返済して職業選択の自由を買い戻し、結局僻地には行かない医師、あるいはお金を出して僻地に行かせない病院が出てくるのではないか、モデルとなっている自治医科大でもそういう事例はあると紹介されています。
私が一番、めまいを感じたのはこの箇所です。
> 医療行政に影響力を持つ自民党の丹羽総務会長は12日、新潟市内での講演で、
> 「自治医大の制度を全国47都道府県の国公立大などに拡大したらどうか。5人ずつ
> 増やせば、へき地での医師不足は間違いなく解消する」と述べ、“自治医大方式”の
> 拡大を提案した。
間違いなく解消するとはすごい自信!この人は、医療の現状について間違いなくわかっていません。そういう人が自民党で総務会長などという偉い肩書きを持っています。なんか私でも総理大臣くらい楽勝でなれそうに感じます。
koume
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