日経新聞の、「正念場・農業改革」というコラムです。見出しはなかなか過激ですが、内容はただの現状把握という感じで、農家としては目新しいものではなかったです。大規模集約も企業参入も、うまくいかないであろう事は昔から判っていたし、かけ声倒れになったことも当然としか思えません。
読んでいて不自然に思ったのは、この記事でも紹介されていますが、農水省の定義では大規模農家ってヤツは4ha以上なんですよね。
この定義は、農家ならば誰しも不思議に思うものだと思います。米専業農家だとしたら、4haでは経営が成り立ちません。規模が小さすぎます。逆に兼業農家としては、4haは破格に大きく、やり切れる面積ではありません。野菜農家ならば何を作るかでかなり幅がありますが、4haはかなり大きいです。
要するに、どちらにしても中途半端です。専業農家の目から見れば、米を4ha作っている農家なんて大規模とは到底言えません。うちはだいたい12haくらい作っていますが、面積的にうちを上回る農家はいくらでもあり、身近にもたくさんいます。
問題は、農水省自体が、政策の対象としてどこを見ているか分からない点です。具体的には、専業農家を見ているのか兼業農家を見ているのか、それすら区別できていないように感じます。世間一般の方にしてみれば、農業政策といえば農業に専門的に従事する専業農家向けの施策だろうと感じるかもしれませんが、我々専業農家本人から見れば、どう考えても専業のことは見ていないと思える政策ばかりに思うことが間々あります。
数としては兼業農家のほうが圧倒的に多いので、政治家の票集めとしては兼業農家のほうを向いていた方が効果が大きいのは自明ですが、両者を区別せずに同じ仕組みを押し付けられても困惑するばかりです。対象すら絞りきれていない政策なら、失敗して当然です。
もっとも明快におかしいのは、記事では取り上げられていませんが、農水省からは「農家所得を100万円とすると、・・・」という試算がよく出ます。こういうのは一番嫌ですね。この現代日本、どこの世の中に、100万円で生活できる家庭がありますか?アホですか。せめて1000万稼げるビジネスモデルを考えて、それ前提にして政策を動かしてみたらどうですか。
4haで単純に計算すると、反収9俵として全部で360俵の収穫なんです。今の米の価格は1俵当たり13000円くらいですが、総売上で468万しかない。昔ながらの農家の中には、総売上=収入と考えている人も未だにいるのが現状ですが、もちろんこれは誤りで、たった468しか売上がないなら純利益などスズメの涙です。農水省公認の大規模農家では生活が成り立たないことがあまりにも分かりきっているんです。農業政策なんかそんな程度の底の浅さで、農家は誰も期待なんかしてません。
koume