日経新聞に載っていましたが、遊休農地を有効に利用するため、農水省が各自治体に指導したようで。
 指導は段階を踏みます。まずは農地の所有者に耕作を勧めます。応じなければ、ではどうすれば有効に活用できるかを協議します。市町村での農地の買い上げなども有りです。それでも応じなければ、強制的に借り上げて他所の農家に貸すという手段に出ることがあります。そういう制度がすでにあります。


 話は変わりますが私は、今の日本の役人や政治家ってのは「手段のためには、目的は問わない」という存在だと思ってます。一番典型的なのは、天下りするためにわけわからん特殊法人を作るなんていう行為ですが、この農水省の農業対策もなんだかなあって感じです。遊休農地を何とかしようということばかり先に立って、では果たして遊休農地があるとなぜ悪いのか。そもそも農地が余る理由をちゃんと分かってやっているのか。土地が余ってるからと単に人に押し付ければいいという考えしか見えません。何しろ、貸し出し対象として考えられている「意欲のある若い農家」は、意欲のあるなりに何とかして農地を確保するでしょう。世の中では余ってるんだし。


 農地が遊んでるからといって、それを強制的に借り上げて誰かに貸して、農業生産を上げようというやり方には大きく分けて二つの疑問があります。他にも細かい話はいっぱいあるといえばありますがそれは無しとしても。
 一つには、現在の農家の意欲が低下してるのは、農地が無いからじゃないんですよね。貸してくれたところで、それがどうしたと。しかも、遊休農地ってやつは生半可なことでは農地にならないです。農地は1年荒らしてしまうと、もともとのちゃんとした農地に戻すにはかなりの手間と時間がかかります。意欲のある若い人が借りたとしても、それだけで意欲をなくしそうな勢いです。


 それともう一つ、大きい理由があるんですが、減反政策はどうしましょ。遊休農地って実は、減反の結果だったりする場合もあるんですよね。国策の結果として農地が余ってる状態でもあるわけで、そこで農産物を作るってことは矛盾なんです。
 国内であまり生産されてない作物を作ればいいじゃないか、と考える方も多いでしょうけど、国内で作られていない作物ってのは作られてないなりの理由があるわけで、一番大きな理由は価格面で折り合わないからです。国産大豆(大豆は自給率が相当低い作物です)で作った1丁400円の豆腐なんて、物好きな人しか買いません。国産だ!といっても、海外産の大豆と何倍も味が違ったりするわけじゃないし。


 農業が縮小している最大の理由は、農業という仕事が苦労する割には報われない部分が多いからだと思います。それは収入面の理由もありますが、苦労自体が全く知れ渡ってないというか、現在の農業という仕事と消費者との距離がものすごく大きく開いてますよね。農薬に対する無理解なんか典型的ですが、野菜なんかは安く安全に作って当たり前という態度が蔓延して、どうにもやる気が出ないという面はあると思います。医療問題に触れてから、似た面があるなあと思いますが、社会から感謝という気持ちが急速に失われつつあるような気がします。


koume