昨日、第10回の放送があり、反町が登場したとか視聴率が良いので1回延長したとか話題になっているドラマですけど、私はタイトルからして虫唾が走る感じだったので見たくはなかったのですが、ある方面から「くだらないのは100も承知だが、それでも見ろ」という強烈な圧力があって、いやいや見ています(^^;
見始めたのは、周産期医療の酷い現状を知る前からだったのですが、それでも最初から気に食わない内容のドラマでしたが、最近の放送はその無神経ぶりがさらに増す感じで嫌ですね。
なんか、21世紀最大の話題作とか言ってる人もいるみたいですが、内容は全然深くないでしょう。だって結局、出来ちゃったもんはしょうがないって結論で終わってるじゃないですか。それで終わるならまったく空虚というほかない。何10年も前からあった話だと思いますよ。
赤ちゃんに罪はないとか、そういう台詞が出たときは笑っちゃいましたけど。そんな話が出たらそこで思考停止せざるを得ない。おいおいそんな話じゃないだろうと。出産費用も自分では工面できないくせに、産みたい産みたいって駄々こねてる我侭娘にしか思えなかった私はひねくれているんですかねぇ。産んでしまえばそれで良いのか?産んだ後の赤ちゃんの人生に、現在中学生が責任を取れるの?現状ですでに、両親によっぽど迷惑かけてるけど。俺中学卒業したら働くよ!なんて父親(15歳)が言ってましたけど、それがどうした。
とりあえず出産が正義で、堕胎が悪だってなってる構造自体が嫌ですね。それより何より、セックスするときは避妊をしっかりしましょうって言った方がよっぽどいいと思うけど。性に関する知識がまるでないのにセックスして子供作ったことが一番罪でしょう。そこをほったらかしにしてどうする。
で、産婦人科にかかるわけですが、今時の産婦人科はこんなややこしそうな出産を受けるのかな?周産期医療に関するブログを読んでたら、そこの部分がどうにも気になります。14歳なのに保険証の存在も知らない、なんてのは特にどうでもいい。
いや、切羽詰まったら受けざるを得ないのだろうけど、そうなる前なら受けないか、あるいは堕胎を強く強く勧めるかのような。本人の意思がそうなら、出産もしょうがない・・・と言った時点で、妊婦本人はもちろんですが産科医も人生の危機を抱えたことになりますからね。ただでさえ出産が出来る産科が激減してる上に、何かあったら即訴訟という恐怖にさらされているところへ、最初からリスクを背負った患者が来て・・・怖いですね。たぶんこのドラマの脚本家は、今の医療が抱えている問題とか現状について一切調べてない(というかむしろ、大野病院や大淀病院の事例を「けしからん」とか捉えていそう)でしょうけど。
んで結局出産と言う段になって、恐れていた事態が。前置胎盤。これを見ると、福島県立大野病院の事例を思い出さざるを得ません。脚本家がそれを意識していたかどうかは分かりませんが。
この大野病院の事例と言うのは、医師なら知らないものはいないと言われる事件だそうです。先日もリンクを貼った「新小児科医のつぶやき」ですが、こちらをご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20061023
簡単に説明すると、前置胎盤のために帝王切開術を行った産婦に癒着胎盤がありました。これはもともと非常に救命が難しい症例で、それでも大野病院のスタッフは最善の措置を採り手術は成功させましたが、それでも残念ながら妊婦は亡くなりました。
ところがその後、担当医師は業務上過失致死で逮捕起訴されています。医師たちは経過を詳細に調べ上げ、あらゆる医学的見地から見て、この産科医に非はないとしましたが、それでも逮捕され、マスコミたちは強烈なバッシングを浴びせました。この事件以後、福島県では産科医が激減し、「福島では絶対に産科医になるな。なったら最後、どれほど真っ当な措置を行っても逮捕されるぞ」と言われるまでになりました。産科医療の崩壊を決定的にした事件として有名です。
ドラマに話を戻しますが、前置胎盤で帝王切開が必要と言うことになり、14歳は即時搬送と言うことになります。んで、ICUとNICUがある大学病院へ搬送されます。
ドラマでは非常にあっさりと、何の問題もなく搬送が完了しますが、ここも現在の医療が抱える問題のひとつとなっています。今日び、それだけの設備とスタッフを持つ病院はそうそう無いのです。というか、病院と言う箱自体はあっても、中にいるスタッフたちは超過密スケジュールで動き回っています。現実でも、病院側が受け入れないと言うことはないでしょうが、しかしあまりにもあっさり受け入れるところが妙に気になります。こんな事態は、受け入れる病院側だって命がけなのです。ドラマの描写からは、「受け入れて当然」な態度を感じます。製作者が、医療の現状を把握していない証拠です。
それでも何とか出産は成功し、しかし妊婦自身はショック状態でしばらく目を覚まさない。この妊婦の両親は、「なぜこんなことになるんですか!」と産科医に食って掛かり、生まれた子供が未熟児で1648gしかなかったことにも不快感を表しますが、そんなもの医師側に文句を言っても始まらない。14歳で出産すると言うリスクをどう考えていたのか。どうにも身勝手としか思えません。医師に感謝すると言う場面もありません。最低な家族です。
来週が最終回だそうですが、こんな話を美談として作り上げる神経がどうにも理解できません。私は先日来、医療に関する問題に衝撃を受けている真っ最中なので、感想がかなり医療者側に偏っていることは否定できませんけど。
医療者の方々の、このドラマに対する感想を聞いてみたいです。
koume