私の頭の中は、PSE法問題でいっぱいなのですが、たまには別の話題も。
フィギュア見てました。結果は周知の通り、荒川静香選手が金メダル、村主章枝選手が4位、安藤美姫選手が15位でした。
ちなみに私は、フィギュアに関してはまったくど素人で、どれくらいかというとアクセル、サルコー、ルッツ、トゥループ、ループの違いがさっぱり分からないくらいです。というわけで玄人の見方とは違うと思います。
安藤選手は、最初の4回転を失敗。期待していたのですが、やっぱりプレッシャーは大きかったかな。そのあとのジャンプでもミス・転倒を連発して最後の方はほとんど半泣きで滑っていました。サーシャ・コーエンやキミー・マイズナーといった選手は、最初の方でミスしても後には持ち直したのに比べて、ちょっと弱かったのかなという感じでした。まあまだこれからの選手だと思うので、いい経験というところでしょうか。
荒川選手は何だか風格のある滑りという感じでした。もちろんノーミス、何だかリンク上で大きく見えました。ものすごく自然な滑りで、不自由さを感じさせず、ということは重力やスケートそのものといった様々な制約から自由になっているような感じでした。もちろん、本当に自由になっているわけではなく、それは身体能力や技術の賜物ですが。
で、実は私が一番期待していたのは村主選手でした。荒川選手は、例えばスルツカヤなどの欧米選手の流れを汲む、いうなればオーソドックスタイプの選手であるという感じを受けるのに対し、村主選手はなんとなく、彼女しか持っていない個性のある、日本的な選手だと思いました。鬼気迫る表現力はよく言われますが、私が特に好きなのはシンコペーションの効いたスピンで、一瞬の溜めを作った後に行われる速いスピンは迫力があってはっとしたものを感じさせます。オリンピック出場を決めた最後の予選大会(ってなんていう試合でしたっけ?)の演技は感動的でした。
今回の滑りは、ミスこそなかったのですが、やはりプレッシャーがあったのかいつもよりわずかに性急に感じました。リラックスしなければならない場所でいまいちリラックスしきれなかったというか。それと、技の難度不足を指摘されていましたが、まあそれで減点されるのはしょうがないかな。それでも私は今回のフリー演技の中では一番感動しました。
ただ、不平屋の私はやはりここでダメ出ししてしまうのですが、今日午前のテレビ番組でのインタビューで荒川選手に、「金メダルを取れた一番の要因は何ですか?」と質問し、「無欲ですね」と答えさせてたのは嫌だったな。
当たり前ですが、金メダルを取れた最高の要因はその身体能力と技術、精神力などの選手個人の能力で、無欲になるのもひとつの理由としてはあるでしょうが、普通は無欲になろうとしてもなれないわけでやはりそれは訓練された精神力です。無欲になりさえすれば勝てるというものではないのに、分かりやすい回答をわざわざ出さなくてもいいと思う。
「私のジャンプが上手かったので、優勝できました」と言うと、反感を買います。しかしそれが真実であって、「技術が高い」と言うことが反感を生むと言うことそのものがおかしい。
大会前に、選手たちを特集した番組はいっぱいありましたが、みんな何故かその選手の家庭環境とか、どれだけひどい怪我から復活したかとか、どれだけ「努力したか」(その努力の内容はあまり語られない)ばかりの放送で、例えばスピードスケートの加藤条治選手の持っているテクニックは他の選手とはどう違うか、どのようにして身につけたものなのかというのはほとんど放送されませんでした。私はむしろそういうのが知りたい。
安藤選手が4回転サルコーを飛ぶことができるのはなぜなのか。「努力の成果」なんて当たり前のそういうことではなく、どういう努力をしてどんな能力を身につけた成果なのか?と。
私は「Number」 というスポーツ雑誌を毎号楽しみに読んでいるのですが、スピードスケートの清水宏保選手は前傾のフォームを保つ際に内臓が邪魔になるので位置を調整するのだとか、強烈な無酸素運動のトレーニングを繰り返し、人間の能力の限界を極めていくと、筋肉の繊維一本一本を感じることができるようになるとかそういう話が一番面白い。
テレビでは、全ての原因を「努力」に求めていますが、一流アスリートにとって努力するなんてのは当たり前で、むしろ「いかに努力しても、届かない世界がある」と言う残酷な世界がトップスポーツでしょう。例えば私が今日から毎日12時間のもうトレーニングしても、絶対にレアル・マドリードのレギュラーにはなれません。そういう、正確な報道を見たい。
koume