その1を書いたのはずいぶん前なのですが、最近「そう言われればそうだなぁ」という話を聞いたので。


 今後の農政の方向は大まかに言って、補助の対象を絞り込むことです。つまり、認定農業者、集落営農、農業法人などなど国の方針に沿った経営策を打ち出している地域・団体に補助を絞り込むやり方です。だいたいに共通してあるのは経営規模の大型化で、小さい農家は切り捨てるのか?という論議は確かにあります。が、実は問題はそれにとどまりません。


 集落営農は実は、既存の大規模農家(専業農家)をも締め出す政策です。 


 現在の農業は、大規模で営む方はたいていが借地農業です。つまり、自前の土地ではなく他人(地主)の田んぼを借りて耕作し、借地料を払うという仕組みです。貸し出すのは、体力的な理由やモチベーションの面で農業からリタイアした地主さんです。農地を取得するのはお金がかかるし、そもそも地主が「売りたがらない」という事情があるのでこういう方法が一般的に成り立っています。
 で、集落営農「地主が組合を作る」やり方です。基本的に、耕作者には関係ありません。その地域の地主が話し合って、というか役所の方から話を持ちかけられ、地主たちだけで検討されて決定します。実際に田んぼを作っている農家は、耕作権はあっても土地の所有権は持ってないし、耕作権にしても「来年から、あんたはもういいや」と言われればそれでおしまいです。
 要するに、そこの土地を借りて耕作している農家は、集落営農に関係なくその土地を継続して借り上げたいと言っても通らないのです。


 また、集落営農の仕組みの中で耕作を継続することは可能です。もともと、地主自身ではやっていけないからこそ他所の農家に作ってもらっていたわけで、集落営農組合が立ち上がったとしてもそこの場所での耕作者が別途必要になるのは当たり前です。

 が、そうなった場合の経営の主体は集落営農組合の方に移ってしまい農家は単なる「作業員」に成り下がります
 それまでは、小作料を地主に払うとは言っても、それ以外の部分、例えばその田んぼでどういうものをどうやって作るか、作物をどこに売るか、機械などはどういうものを使うかはほぼ完全に農家の自由だったのですが、そういう自由を奪われるわけです。JAや役所からさんざん口出しされて、そしてそれを受け入れざるを得ないという、非常に割の合わない、そして儲からない立場です。


 最初の話に戻ると、農業の補助を絞ると言う話。絞るのは別にいいんです。対象は主に、先に書いたように、認定農業者、集落営農組合、農業法人です。
 んで、「それ以外の小さい農家は切り捨てるのか?」と言う意見は実は間違っていて、どう違うかと言うと、割合的には「それ以外」の農家のほうが圧倒的に多いのです。ある程度大きな規模を持つ農家も、それ以外に含まれます。認定農家も農業法人も、全然少ないんですよ。んで集落営農は、先に書いたとおり、実は「農業団体」ではなく単なる「土地持ち団体」になる恐れが大いにあります。


 もちろん、立ち上がったばかりの仕組み、あるいは立ち上がりかけている仕組みなのだから問題点がいろいろあるのは当然と言えば当然なので、今後の成り行きには注目していきたいと思いますが、少なくとも、農政がJA中心で動く限り懸念の材料は増えこそすれ減りはしないような気がします。


koume