衆院選に向かい各党のマニフェストが出揃い、農政に関してもまとめて比較をするという記事が出ました。
「農政ニュース」http://www.jacom.or.jp/news05/nous101s05082203.html
まず、以前書いたように、マニフェストなんてものは結局のところ単なる広告みたいなもので、守られるという保証は一切ない、というか別に守られなくても罰則なんかないのですから期待するだけ損というものです。失望が大きそうだし。
それでも一応検討するならば、見るべきマニフェストは自民党のものです。
なぜ、自民党のを見るのかというと、内容が優れているからでは全くなく、政権を取らない政党の政策など実行されないからです。政権など全く関係ない共産党や社民党のマニフェストは最初から読む気も起こりません。政策は結局、かなりの部分が与党の思い通りに動くのですから野党の言う事など検討するだけ時間の無駄です。
さて、この記事を読む限り自民党と公明党の農政マニフェストには両方に「集落営農」の文字が躍っています。この集落営農は、今後推進されるでしょう。これは間違いありません。この部分はマニフェストも実現可能です。
しかし、集落営農が農業の発展に役立つかどうかはまったく別です。
集落営農とは文字通り、ある範囲の地域(集落)で独立して農作業を行っていた農家をひとまとめにして営農組合を作り、田んぼなども区画整理でまとめてしまって経営の大型化・効率化を目指すやり方です。集落営農は国が進める方針なので補助金も出やすく、農産物を作る上でも効率化により「計算上は」個人経営よりもこちらのほうが儲かります。
これって、一概に悪いこととは言えないんですけど、しかし現実には相当難しい、結果的には農家は全然儲からない方法です。まぁ確実に儲かるのは土木業者とJA、あとは農業機械メーカーですかね。それと、集落営農グループを増やして補助金を出せば、それだけ政策的には「効果が上がっている」と見なせるので、役所としてもポイントは上がります。農家が全然儲かってなくても。
なぜ儲からないかというと、結局は集落営農って、JA主導で行われる事業なんですよ。要するに、農業資材や農薬・肥料・農業機械の仕入れなども全てJA通し、作物の販売もJAルート、肥料の使い方や量、農薬などに関しても計画は全て役所やJAの指導によって行われ、農家はそれをただ単に「実行するだけ」になります。
自分で考えて行う部分があまり無いのですから、仕事に対するモチベーションの低下は十分考えられます。自分なりの工夫をいかに尽くそうとも、価格は向こうで勝手に決められるのならば、つまり一定基準さえクリアしていれば味噌もくそも一緒くたで同じに扱われるならば、最低限の品質さえ維持していれば手を抜けば抜くほど儲かるというものです。
そして「計算上は、コストを安く作れる」といっても、JAから買う農業資材はほかのあらゆるルートと比べても日本一高い価格ですし、販売にしても相場で勝手に決められるJA価格は日本最安レベルです。自分で工夫していいものを作り、高く売るのと比べるとさほどコストメリットは無い様な感じです。
しかも、安く作れて価格は従来のままというならまぁ儲かるってのも判りますが、農産物の相場は年を追うごとにものすごく安くなっています。安く作れるならば、安く買い取ってもいいだろうと考えるのは農家の立場を無視したやり口ですが、JAってのはそういうものです。
また、生産・販売に関してはさほど責任の無い立場ではあっても、「集落営農を続ける」ということに関しては責任があります。これは一旦はじめると、その営農組合から5年間は脱退できないという決まりが往々にしてあります。始めて2年くらいでポシャってしまっては集落営農の手柄も何もありませんから役所側としてはぜひとも続けて欲しいものですが、農家の高齢化はほかの分野よりも早く進んでいますし、作業内容も屋外の肉体労働なのですから、今できている作業が5年後にも同じくできているという保障はありません。
集落営農がうまくいっている地域もありますが、そんな事例は全体のほんのわずかです。結局、一番の勘違いは「政策で農業をどうにかできる」と考えている思考そのものかもしれないと思いますが、要するに経済活動の活性化は規制緩和をとりあえずしてから後は市場に任せておくしかないのと同じで、農家の手綱を取ることで農業業界を活性化できると思うこと自体に「所詮、政治家や役人は素人」と結論が透けて見えてしまい、ますますマニフェストなどに興味がなくなるというお話でした。おしまい。
koume