農業後継者を育成して、農業人口を増やそうという試みは全国でいろいろしょっちゅう行われていますが、ほとんど成果は上がっていません。農業後継者が減っている理由を無視して、ただ単に子供に田植えや稲刈りの体験をさせているだけなのだから効果がないのは当然なのですが、この後継者が減っている理由の部分をかたくなに無視し続けるところにお国や役人やJAなどなどの皆様のやる気のなさといい加減さがよく現れていると思います。
 
 農業人口が減っている理由は非常に単純で、儲からないからです。公にそんなぶっちゃけた事を言う人はそんなにいないでしょうが、結局のところはこれです。メチャクチャ頑張れば年収数億、高卒のペエペエでも年収500万くらいは可能、とかいう世界なら黙ってても農業人口は増えます。儲からない商売を、「自然と触れ合う感動」だとか「国の食生活を支える重要な仕事」とか言ってても結局は誤魔化しにしか過ぎません。


 実際のところどのくらい儲からないかは、悲しい話になるのでしませんけど(^^;私個人は、サラリーマンを数年間した後に会社を辞めて、家業の農業をしているのですが、毎月の手取りは会社員時代に比べて6万円減りました(もちろん、会社員時代に高給取りだったというわけではない)。まぁ家業をやっているのだからそんなに文句は言えないし現在特に不満は持ってないのですが、他人に対しては、この給料で雇おうと思ってもまず無理でしょう。仕事が魅力的なら給料が安くても!という人を狙うしかないわけですが、星の数ほどある職種のその全てにいろんな魅力があるわけですから、そういうのを当てにするのは悠長というものです。


 もちろん、「儲かる農業をしよう!」という動きというか、そういうものはあります。農業改良普及所とかの指導員がそういう指導をすることはよくあります。商品価値の高い作物を作るよう薦め、そのための栽培技術の指導などをしますが、そんなものやるならば、売るための指導が先です。そういうことをしている所があるのかどうか、私は寡聞にして知りませんが、農家が一番弱いのはこのあたりの営業活動というか、販売に関する技術です。
 現在、農産物の販売は、農家からの直接販売がだんだん増えてきています。この傾向は今後どんどん増えていくと思います。自分の好きな価格で売る事ができるのですから、農業で儲ける為には必須といえると思いますが、しかし実はJA・経済連は直販には反対します。JAは国内最大の農産物卸なので、全ての農産物流通を自分たちの統制のもとで行いたいというのが理由でしょう。


 農家が儲からない、最大の障害はJAだと思います。JAに農産物を収めた場合、その価格はJAの言いなりに決められます。昔はともかく、今は大変に安い価格です。その価格で生活していこうとしたら、とてつもない量を扱わないといけなくて、そしてそれでも年によっては大赤字になる恐れが大いにあります。JA価格は相場に恐ろしく左右され、豊作の年と凶作の年で2倍も変動したりするからです。
 農産物自体の出来は確かに、天候によって大きく左右されますから、価格変動なんか当たり前だと思うでしょうし実際そういう面もあるのですが、しかし農業生産にかかる原価というものは豊作だろうが凶作だろうが毎年同じです。米を作るのにかかるお金、農薬を買ったり機械の維持費を払ったり人件費を払ったり・・・のお金は、ほとんど米が実る前に使われます。農業機械は、その年が豊作だからといって、例えば500万のものが300万になったりしません。実際我々は、毎年同じだけの売り上げがないと生活が成り立たないのですが、豊作の年は相場が恐ろしく安くなるために、かかった原価を回収できないことがよくあります。農家は実は、豊作の年よりも凶作の年のほうが儲かるのです。

 ちなみに豊作の年というのは、実際に作物がよく取れた年のことを指すのではなく、「豊作の雰囲気がある年」のことです。なんかおかしい表現ですが、例えば去年2004年は夏の天気がものすごくよく、豊作の雰囲気が大いにあって実際に米の価格はとても安くなりましたが、実際には収穫期に台風が連発で来たので収量は伸びず、かなりの凶作となった2003年と大して変わらない結果になりました。それでも相場的には豊作になっています。2003年に比べて2004年の売り上げが半分近くになった農家というのも実際にあります。


 ところで話はやや戻りますが、儲かる農業のために、商品価値の高い作物の栽培を指導するというのも本当はおかしいです。なにがおかしい?と思う人もいるでしょうが、もちろんそれ自体は間違っていないし大いに結構なことだと思いますが、「儲ける」ためにはそれより先にすべき、もっと効果の高いことがあります。次回はそれを書きます。 


 ・・・あれ?最初は農業後継者のことを書いてたんだったな・・・(爆


koume