koumeです。今日は長くなりますが、ほとんど農水省への愚痴です(笑
トレサ農産物ってご存知ですか?
トレサは、トレーサビリティの略で、来歴をしっかり辿る事のできる農産物のことを指します。
つまり、白菜を買ったとして、その白菜の生産地・生産者、生産方法、流通業者はどこをどう通ってきたか、などの履歴をチェックしておき、消費者がそれらの情報を欲しいと思えば、その白菜についたバーコードか何かを検索すれば全てがわかる・・・という仕組みです。
最近、割と各地で始めようとしている仕組みです。あ、肉牛はすでにこのトレサシステムが導入されてますね。
ここ数年の農産物の不正事件の多発で、このようなシステムがひねり出されてきたようです。
農林水産省はこのトレサについてのパンフレットを作ったりして、理解を呼びかけたりしています。
そしてある新聞がこのトレサ農産物について、消費者にとったアンケートがあります。かなりの割合の消費者がこのようなシステムができたらありがたい、歓迎している、というニュアンスらしいです。
ただ、お題目は立派ですが、実情は、こんなもの実にくだらないばかばかしいシステムです。何しろ、役所側にこれを本気でやるという姿勢がまったく見えません。しかも、消費者側も、実際にはこんなものに価値を見出していないようです。
理由はいろいろあります。
まずはコスト面です。このシステム実現にはコストがかかります。生産者にしてみれば、どういう農薬や除草剤をいつどれほど使ったかとか、どういう作業をいついつに行ったかとか、事細かに記録してまとめて業者に提出するというのは、従来に比べてまったく新しく発生するコストです。中間業者をいつどのように通ったか、などもチェックが要りますし、それらをオンラインシステムでデータベース化して検索できるようにするのにもコストがかかります。
では、このコストは誰が負担するべきなのでしょうか?それは、常識的に考えれば、このサービスを受ける者、つまり消費者です。
しかし前掲の新聞には、こんなデータも上がっていました。「トレサ農産物の価格が、いくらまでなら買うか」そこでは、「従来価格のまま」「従来価格より+5%」の解答が、2つ合わせて60%という大きな割合を占めていました。
逆に考えると、トレサシステムには、その程度の金額の価値もないということの現われではないでしょうか。そりゃ、タダでサーヴィスが受けられるなら、誰でも受けます。
農水省のパンフレットには、コスト負担が必須であることはかかれていますが、「生産者・流通業者・消費者の3者で応分に負担する事が必要」と書かれています。手間という意味でのコストは生産者も払いますが、それは価格で還元されるべきです。価格という意味でのコストは、消費者が全て負担するのが筋です。
ただしかし、今の世の中の仕組みでは、価格を上げないままでこのトレサシステムを作る事ができてしまいます。なぜなら、生産者直売や生産者直接卸しでない農産物の大部分はJA、経済連に納められますが、このときの引渡し価格はほとんどJAの言いなりだからです。
つまり、トレサでかかる値上げ分を、農家からの買い取り価格を引き下げる事で吸収する事ができてしまうのです。農家にしてみれば、いらぬ仕事をして、しかも買取の値段を下げられる、2重にひどい負担増です。
お役人は「売れない価格にするわけにはいかないから、消費者重視で行かないとしょうがない」と言います(実際に言った)が、そんなもの冗談ではありません。やるなら、トレサとそうでないものを2種類用意して、高いトレサ農産物を買うかどうかは消費者に任せるべきで、コスト負担を農家にぶつけておしまいは納得いきません。
更にもう一つ、トレサがくだらないと言う理由ですが、このトレサ履歴が本当に正しいものかチェックする機関もないし、人もいません。機関ができる予定もありません。お役人さんによれば「それは各業者のモラルに任せる」そうです。
しかしよく考えると、もともとこういう制度は、モラルの低い業者のために行われるものだったはずです。モラルの高い業者は、こんな制度がなくたってちゃんとした商売をするのです。そして、モラルの低い業者が嘘のトレサ記述をしても、それが嘘かどうかの判定はできない仕組みです。
なんだか、消費者からクレームが入ったときの言い訳作りというか、無責任体質がつくったシステムと言う気がしてなりません。こんなものを作って農家をいじめて、JAや農水省は何が面白いのかよくわかりませんが、これではただでさえ10年後には半減しそうな農家がますます減っていくことが目に見えるようです。くだらない規制とか縛りが多すぎです。