暑い暑い夏である
今夏
父の七回忌、母の三十三回忌を執り行った
母が亡くなって
もうそんなに経つんだねぇ
母は48歳で旅立った
私が小学校2年のときに
B型肝炎になり
じわりじわりと死に向かっていった
最後の早春に父とパリに行き
何も食べれずに帰国して
あとは最後の夏までずっと入院していた
私は大学生になっていて
ほぼ病院で寝泊まりして
母に付き添っていた
途中から、父も胃がんになり術後
2人部屋にしてもらい
父と母の間で私が簡易ベッドで休む日々が
延々と続いた
疲労困憊、心身衰弱、悪戦苦闘に艱難辛苦

この闘いが終わるのは
母が亡くなる時だ
一晩でも自分のベッドで寝たくて
弟に代わってもらっても
もう、夜中には電話がかかってくる
"マミーがお姉ちゃんじゃなきゃイヤだって
"

そして、車を飛ばして病院へ戻る
夏の暑い日
身体を起こしてあげて
背中をさすりながら
病室の窓の外を2人で眺める
モクモク入道雲に青い空
そして少し遠くに羽田の離発着が見える
その時の母の背中の感触、温かさ
重たいけど、力のない肉体
細い指先、点滴の匂い
そして、黄色くなった皮膚
いつまでも、いつまでも
ただ、飛行機を2人て眺めていた
あの頃、運転中に聴いた
崎谷健次郎の"夏のポラロイド"
(なんか、この前、あらぬことで、久々に
テレビで見たけど
)

"2人で借りていた、夏のコンドミニアム〜〜
バルコニーにはデッキチェア〜〜"
なーんて、歌詞で
チャラくて、オッサレーで
みんなこんな風に夏を過ごしてんだなぁ
"夏はいつもビーチなの〜"って
言う人いたなぁ、、、
ワタスとは随分かけ離れてんなぁ
そうやって、私の周りの人たちは
人生を生きてきたんだね
ワタスはこんな暑い中、夏に外にいたら
生き倒れてしまう歳になっちまったよ

この歳になったら、温泉が♨️1番
てな、ワケで
今、登別温泉にいるだよ♨️
素敵なビーチ⛱じゃなく
ワイルドだろ〜(古いだろ
)

これが私のライフだ
私の夏のポラロイドは
母との最後の夏
いつまでも、いつまでも
夏のポラロイド
崎谷健次郎