無名
「無名」 著者 沢木耕太郎 氏
- 沢木 耕太郎
- 無名
ノンフィクションライターである氏が、自分の父親の死を深く描いた作品です。
私からみると、とても不思議な親子関係である微妙な距離感が、うまく伝わってきます。
親の死がどういうものであるのか、自分はその時にどう動いたら、どう接したらよいのか・・・
自分にも考えさせられつつ、しかし、ひとごとのような、自分にはまだまだ先の事のような、考えたくない事のように思えます。
自分の親の死をきちんと捉えなさい、というような高飛車な書き方ではなく、静かに潔く書かれています。
自分の父親を自慢をするわけではなく、自分の記憶にあるまま、知りえたままを書き、しかし常に尊敬というものが寄り添っているように感じました。
周りの家族についても描かれていますが、私が一番感動したのは、氏の義兄の姿勢・心持ちです。
こんなにすばらしい方を選んだ氏のお姉さんもまた、すばらしい方なのではと思われます。
私にとって、親とはいつの頃からか、守るべき存在になっています。
特に母親。
いつもどこかしら傷を作っているような、おっちょこちょいな母なので、余計にそう思うのかもしれません。
といっても、まだまだ親に甘えている部分は、多々ありますが。
守ることで、親孝行をしているつもりになっているのかもしれません。
この本を書きえたことが、ノンフィクションライターを生業とする氏の親孝行であったのかもしれません。