東京生まれジュリアナ育ち | バイきんぐ小峠の「見ル前ニ跳べ」

東京生まれジュリアナ育ち

どうもみなさんこんにちは、我輩は猫である、名前はタマです


年末いっぱいで”アメリカンジャンクフード”の名を欲しいままにしてきた「ウェンディーズ」がなくなったのを知っておりましたか?


確か日本全店舗撤退です


何かで知って、なくなる前に絶対にアレを食べなければ!と思い、きちんと食べてきました



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ポテトにとろけるチーズ(30円)をつけて食べる


これうまいでしょ


知ってましたか?ウェンディーズのこれめっちゃうまいの


めっちゃうまいでしょ


これ



これとの出会いは17の夏


家出して初めて東京に来て、公園やマンションの階段でダンボールにくるまって寝ながら生活していた頃


竹下通りの真ん中ら辺でバイトをしていた


そのバイト先に当時全盛期の「ジュリアナ東京」に魂を売ったような、バリバリのイケイケギャル(死語)のおねえさんがいた


明るくて、垢ぬけて、きれいな人だった


初めて接した東京の女性


可哀相と思われていたのか、色々とやさしくしてくれた


メシおごってくれたり


東京案内してくれたり


使わなくなったラジカセくれたり




あるとても暑い日に、原宿のウェンディーズに一緒に入った


その時おねえさんが頼んだのが、このポテトにとろけるチーズだった


「何なんですか?これ」


「えっ!?これ知らないの?マジ?」


「知らないですよ。このウェンディーズっていうのに入ったのも初めてなんですから」


「ハハハ!ちょっとやめてよー!」


「俺の田舎ウェンディーズないですよ」


「嘘っ!?マジ!?」


「マジです。本当に何もないですよ、ド田舎なんで」


「何もないって、何かあるでしょ!」


「商店街くらいですかね」


「商店街って!ウケる!」


「マクドナルドもないですよ」


「マックもないの!?それは嘘だ!」


「本当です」


「じゃあ放課後どこに行くの?」


「商店街です」


「もういいよ!商店街は!」


「ところでこれ何ですか?」


「これはねチーズ。ポテトをこうやって付けて食べるんだよ。食べてみなよ」


「いただきます」


「どう?」


「・・・めっちゃうまいじゃないですか!何すかこれ!めっちゃうまいっすよ!」


「そうでしょ!」


「めっちゃうまいっすよ!めっちゃうまいなあ!」


「これいくらだと思う?」


「100円くらいですか?」


「ブー!30円」


「めっちゃ安いじゃないですか!めっちゃうまいうえにめっちゃ安いじゃないですか!めっちゃ・・・」


「もうわかったから!そして食べてたらこのチーズがなくなってくるでしょ?そしたら最後は・・・」


と言って、おねえさんは指で器をグリングリンかき回し、チーズを根こそぎ持っていき口に運んだ


「これねちょっと行儀悪いかもしれないけど、おいしいから良いんだー」




「好きです」と言いそうになった


そして汗ばむ手を握りしめ視線を下げたその時、椅子に乗せてあるおねえさんのバックからはみ出ているあるモノに視線を奪われた


最初は小動物かなと思った


小動物をルイ・ヴィトンに入れて持ちあるいてるのかなと


それが最先端の東京スタイルなのかなと


でもよく見るとそれは、どぎついショッキングピンクのふかふかの扇子だった


このイカレれた扇子を持って、ボディコンに身に包み、お立ち台で踊り狂ってる姿を想像し、心にブレーキがかかった


スピンしそうなくらいの急ブレーキだった



"東京の人やなあ"


そう思った


高二の夏




それからというもの俺はウェンディーズに行った時はこのチーズを頼み、最後絶対に指でグリングリンして全てかっさらって食った


例え行儀が悪かろうとも



これ読んで今このチーズを食いたくなった人おるかもしれませんね


でももう食えねーです


ウェンディーズはもうねーです