■朝日新聞 2020年1月4日(土) 日本人の心 & AI俳句

 

■元日から始まった連載「志エコノミー」というコーナー、元駐日ペナン大使の方がインタビューに答える形で応答されている答えに日本人の心が内包されていると感じたことでした。

 

 氏曰わく、

ペナンには「魚をほしがる友だちに毎日魚を与えるよりも、魚の取り方を教えた方がいい」という、ことわざがあります。ODAを何十億円、何百億円出しても人材がいなければ効果はでません。投資を生かせる人材が必要です。

 まずは、この表現、私が知っている範囲では、マザーテレサでした。魚より魚の釣り方を!という話を読んだことがありました。

 ここから紹介するのは、数年前に、生徒指導を担当していた時に配布した駄文の一部ですが、引用します。

 

■まずは、この中国語、わかりますか。老子の言葉?だそうです。

「授人以魚 不如授人以漁」

 書き下し文にしてみましょう。漢文学習が懐かしくなります(汗)。

「人に授けるに魚を以ってするは、人に授けるに漁を以ってするに如かず」

 意味は、こうです。

人に魚を与えると一日で食べてしまう。しかし、人に釣りを教えれば、一生食っていける

 

 この言葉は私が新採のころ、キーワードだった「自己教育力」とかみ合ったのでした。「そうか、魚じゃない、釣り方だ。」と。私は教職10年目で宿題を廃止し、自学一本やりで数年間、挑戦したことでした。宿題は魚であり、自学は釣り方だとね。

 そんな時、道徳の教材開発でマザーテレサに出会いました。

『生命あるすべてのものに』(講談社新書 マザーテレサ)

マザーテレサは、とある下りで、こう言っておりました。

「この人びとは病気、飢え、疾患などをかかえていて、立つことすらできないのです。ですから私は、まず、食べることができる魚を与えています。自分で立てるようになったら、今度はみなさま方にお願いします。魚を捕ることができるように、その人びとに竿を渡してあげてください。」

私は熟考しました。魚=宿題が必要な子もいるのかもしれないと。いや、むしろ魚が必要な子ばかりかもしれません、場合によっては。

 心は揺れ動きました。

 

■その一方、数年前にこんなビジネス本を読みました。

「魚の釣り方」は自分で考えろ』(泉忠司著)

 ここ数年で、fintecが銀行を変え(銀行員の大量解雇=電子マネー、仮想通貨、電子決済の世界になる)、AIが人を制する時代となるそうです。今まで「常識」だったことが、そうではなくなる時代を迎えております。だから、釣り方は自分で考える必要があるというのです。

 私は、小学校はやはり基礎・基本だと考えます。それも「土台」となるものです。職員会議でも話題になりましたが、パソコンを例にとると、インターネット検索での学習でしょうか(今、理科でもやっていることなのですが)、私は、そんなことより「ローマ字とブラインドタッチ」力だと考えているものです。入力スピードがある子とない子、これから先々、ぜんぜん違ってくると思うのです。でも、現行では、ブラインドタッチの「ブ」の字も聞いたことがありません。これからは、スマホのフリック入力だという向きもあるかもしれませんがね。

■さて、本題に返ります。その元大使、こう述べられています。

日本人は、自分のことを先に考えない。まず、相手に迷惑をかけないように動く人間です。自分さえよければいいとは考えない。(中略)

 私が好きな日本語のひとつは「おかげさまで」。ここまで頑張ってこれたのは、アナタのおかげ、これからもよろしくね。そんな精神です。共感は世界に広がるはず。きっと日本は世界で輝きます

 

■さて、この記事、どこで生かせうるか、それは言うまでも無く、小6社会科「世界の中の日本」です。お金の支援ではなくして、中村哲さんではありませんが、人材なのでしょう。その授業支援ができる記事だと考えます。

 

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■話は代わり、次の俳句を詠んでみてください。

初釜やいまぞ生きよと富士の土

空青く子供育てし注連飾り

初釜やひそかに灰の美しく

 詠み人知らずなんて言いません。これらの句は、「天声人語」で紹介してあったものです。

 詠み人は、一茶ならぬ「AI一茶くん」だそうです。

 

 AIが日本人の心を持ち出した!!といえないでしょうか。AIに負けるような人道支援ではいけないのでしょう!

 

■アメリカがイランの重要人物をドローンで殺害しました。先日、総理はイランの大統領と話し合いました。一体、何と声をかけるのでしょうか。日本ーアメリカーイラン、実に悩ましい関係というか、それ以上に、今後のアメリカーイランがどうなるのか、さらなる人道支援が必要な状況にならないことを祈るのみですね。