■朝日新聞 2017年2月12日(日) 「さゆり・・・」
 
■1面はトランプ大統領と安倍首相の会談で埋め尽くされていますが、やはり熊本にとってはこちらが1面なのでしょう。私は、ショーには行っていないのですが、胎児性水俣病患者の皆さんの熱い思いが伝わる内容でした。
 
■最近も、児童による水俣病問題への発言が取り上げられたばかりですが、教科書での授業、社会見学での授業以外に、日常生活で、こうして水俣のことが取り上げられた時に、教師は論ずべきでしょう。何もなかったように、授業の時だけ扱うので、児童の心に響かないのかもしれません。
 
■前回が1978年だったそうで、今回、38年ぶりの開催にこぎ着けたという、並々ならぬ努力に頭が下がりますね。文中では、「人に認められることを成し遂げたい」という言葉が一番印象に残ったことでした。そうさせている我々がいるのだという、裏返しですよね。そしてまた、次の文章も記憶に残りそうです。「みんなで何かできるのは最後かもしれない」、うーんとうなってしまったことでした。38年前には、何とか立って活動できたが、今では車いすという問題、翻って、私は38年前も今もほぼ変わらぬ状態だということを認めざるを得ませんね。水俣病の公式発見から60年あまり経っており、胎児性患者の方々も還暦を過ぎるという、時の流れ、実に重いものがあります。
 
■石川氏は明水園を訪ねて歌を披露したそうですが、私もここには、30年近く前、水俣病の取材に行ったことでした。実に、月日の流れを感じてしまったことでした。ちょうど、中学教師をしていた頃です。小見出しには、こうもありました。
「水俣病患者ら実現 生きる力に」
 この最後の言葉、久しく教育界で使われている言葉でもありますね。何か、それとは重みが違うような気がしている昨今であります。