その後~

なんだか肩の荷がおりた様に軽くなった。
淋しさも切なさも、
なんだかあまり無いように。


タカと居ると楽しい
だけど、楽しいだけで恋愛するのとは
もう違う。

タカと居たいと思う程、
苦痛も多い。


その苦痛に少しずつ麻痺して、大きな苦痛すら、ささいな事のように
私の頭が、勘違いしていたのだろう。


これから、私は何事もなかった様に
過ごしていくのだろう。


忘れられないタカを心に。



告白より一週間

話があるとタカを呼んだ。


タカは来て、土下座をした。


「ごめんなさい」


「もう、いいの。」


タカと話をすると決めた時、
私は離れる事を決意していた。


タカの事は好きだけど、
一緒に居るのはもう無理。
別れるではなく、付き合っている関係を
解消したい。

そう話した私に、
タカは小さく頷いた。


そこからは、
もうケンカでは無く、
仲良くさよならしたかった。


その空気を感じたのか、
タカはまた、愛おしそうに頬に触れた。


切なくなってタカの膝で寝た。
幸せな最後の時間だった。

タカが髪と頬に触れる。


最後タカと抱き合って、
キスをした。


これで終わりだと実感した。
やっと涙が少し出た。


終止符。



告白より5日

タカは、社長とポーカーをすると飲みに行った。
嫌な予感がした。
電話にも出なかった。
タカのお店の店長に電話すると、
お店の新年会に行っているからと言われた。


また、嘘。
嘘。
嘘。


そこには、シイも居る。
偽装結婚の話を聞いて、
シイなんか頭の隅にも出てこなかったのに、
シイと飲んでいる空間を想像して、吐き気がした。


タカは最後まで電話に出なかった。


次の日、電話が来て
私は怒りをぶつけた。

ひどい言葉をたくさん言った。
たまった不満を全てぶつけた。

タカは、怒るから、嘘をついたと言った。
タカは、嘘つきのわりに、嘘が下手なんだ。


タカは嘘のかたまりで出来ているとすら思った。


でも、今はその最後の嘘に感謝している。

告白より3日後

誰にも相談出来ない事に、どうしていいかわからなくなった。
このままタカが別れるのを待って、
何事もなかったかのように結婚するのも
わるくないとすら思った。


でも、偽装結婚させたタカの母と
うまくやっていけるか不安にもなった。


友人に相談出来なかったのは、
やめといたらと言われるのは、
目に見えていたからかもしれない。
私が相談されても別れなさいと言うだろう。


タカとはそれから会ってなかった。
忙しいタカに、
会っても何を話していいかわからないし、
答えも、覚悟も出来ていなかったから。


タカは、どう過ごしていたんだろう。


平成20年12月
確かにタカは婚姻していた。


タカと過ごした2年。
タカはずっと婚姻していた。


国から発行されるその書類を眺めながら
私は言葉を失った。


タカは静かに言った。
出会ってから、本当に後悔したと。
私と結婚したいと思えば思う程、苦しくなると。
本当は知らない間に終わらせるつもりだったと。


誰がどこまで知っていて、
真実はドコに?
21年の年末一緒に食事をしたタカの母と妹。
23年の年始に会ったタカの弟。
知っていたの?
誰が?


考えても答えは出ない。
あまりの事に、涙すら出ない。
感情がすべて無くなってしまったかのような
無。
無。
無。


無言で見つめていた、戸籍謄本をタカに返すと、
タカは涙をためながら、破り捨てた。


タカがよく言っていた、クソみたいな人生は
確かにそこに存在した。


見つめ合ったまま、お互い言葉を探すけど、
何も出てこない。

タカを見つめていると、
やっぱりすきだなと思った。
ほんの少しだけ。


タカは、私を好きだけど、
難しい事がたくさんあると言った。



私は、「大事にしてね。」と、伝えた。


そしてお店を出た。

お店を出たタカは、いつもの様に、
愛おしそうに頬に触れた。
そして、触れるか触れないか程の、キスをした。



歩きながら、何も考えれなかった。
あの時、私は死人のように歩いていたんだろう。

仕事も、精一杯の作り笑顔が笑えていたか自信が無い。
???????????


????????????????


意味が解らなかった。

私が生きてきた人生では、遥かに理解の域を超えていた。



「ど  うゆう事?」


精一杯の言葉。

そこから説明された理解を超えた言葉たちは、
聞こえているようで聞こえなかった



別れたくて言ってる嘘かもしれない!
と、私の脳は、苦痛から逃れるように
答えを出す。
そして、一筋の希望のように
タカに聞いた。


するとタカの鞄から、
戸籍謄本が出て来た。


悪魔が、
これが真実だ。現実から目を背けるんじゃない
と、呟いた。


長い沈黙の後、
タカが「話さなきゃいけない事がある」と言った。


また
長い沈黙。
お昼のCAFÉには、楽しそうな声があふれてる。
タカの沈黙に、周りの喧騒に、嫌な予感がした。


タカが少し泣いたように見えた。


そして私を暗闇に突き落とす言葉を吐いた。




「実は、出会う少し前に、偽装結婚をしているんだ。」



そしてまた少し泣いた。
数日が経ち
タカはお昼に婚姻届を持って行くと連絡してきた。
私は、とても嬉しい気持ちで、
2人の思い出の、CAFÉ トレンカで待ち合わせした。


タカは浮かない表情で、寝てないんだと言った。
いつものように、妹の受験の話や、仕事の話をした。
2人の未来にとって記念の1日になるなと思っていた。
タカの浮かない表情に不安を感じながらも、
幸せな未来を想像していた。


1時間程話した後、


タカは封筒に入った、婚姻届を見せた。
笑顔の私とは、裏腹の表情で。
ありがとうと言う私。
黙り込むタカ。


タカは沈黙の後、語り出した。
「勝手に出さない?」

「出さないよ。出すときは2人で出そうね。」


沈黙。


タカがまた切ない顔をした。
平成23年2月

タカに婚約指輪を買いに行こうとお願いした。
どんなに離れていても、
それがあれば私の
不安も解消されると思った。


でも、「タカはお金が無いから無理なんだ。ごめん。」と言った。


私は、お金が無いからではなく、
きっと買いたくないんだと思った。
だってその時、タカはipadを買った後だったから。


だから、私は、
「婚約届にサインして持ってきて」
と頼んだ。
お金が無くても出来るからと、
気持ちを信じたかったから、
凄く安易に言ってしまった。

それが決定打になった。
新しい年の始まり。
タカは離れて暮らす父に会いに行った。
その帰り、タカは弟を連れて来た。
一緒に遊ぶ中、酔ったタカは、
俺こいつと結婚するから。と弟に言った。

そこからは、飲みに行くと
婚約者だと言った。
私も、そのつもりで前向きに考えるようになった。


婚約指輪を買うと言ったタカ。
嬉しかった。
まだお店にはシイも居る。
口に出せない不安を解消出来ると思った。


だけど、
タカはまた忙しくなった。
ドタキャンも連絡がつかない事も増えた。

同じ不安が頭をよぎった。
会えない時間が増えて、連絡がつかない。
タカへのストレスも目に見えるように、多くなった。
時間を作って会っても、タカもストレスの塊のようだっだ。

また同じ道をたどるような気がした。


だけど、道は同じではなく、
もっとひどかった