やはり11月は音楽の月なのか、そのつもりはなくても(あるんだけど)、演奏会に出かける機会が増えます(*^o^*)。今年は前半体調を崩していたせいもあり、コンサートに出かけるのもちょっと工夫が必要でしたが、ここへきてかなり復調しています。印象に残ったものが複数ありましたが、一つ一つこちらには書いていなかったので、今回はまとめてみました。
今月スタート11/1は、ツィメルマンのベトコン4番。オケは東京ニューシティー管弦楽団。指揮はポーランドのノヴァック。オケを導く演奏で調和に満ちた心温まる演奏。一流のピアニストはオケがどうであれ素晴らしいということを実感する演奏会でした。
かなり期待を込めていたブロムシュテット&バンベルクのブルックナー7番。オペラシティの3階正面席で音のバランスも良かったのですが、各パートの貧弱さに物足りなさを感じてしまいました。後半で優秀なドイツ系オケを二つも聴いてしまったこともあり、全く印象が薄れてしまいました。(あくまでも個人的な感想ですが)
ちょっと余談ですが、2010年8月15日に初めてザルツブルク音楽祭に行って、聴いたのが、リッカルド・ムーティ指揮 プロコフィエフのオラトリオ『イヴァン雷帝』でした。今もって底からわき起こる轟音のラストを思い出すのですが、この録音がなんとウィーンフィルの自主制作盤という形で発売された!と、クラオタ友人から情報が入り、さっそく注文しました。こちらの自主制作盤は一般の流通ルートには乗っていないそうです。さっそく聴いてみましたが、ライブ録音であるにもかかわらず、会場のそのままの空気を伝える優秀なもので、ラストの轟音と観客の熱狂がそのまま録音されていました。CDにてこの音源を聴けるとは!!
ティーレマン指揮 シュターツカペレドレスデン
<上記のお写真は2013年8月のザルツブルク音楽祭でブルックナー5番を聴いた時に、座席がそこしか残っていなくて、最前列ど真ん中だったので、ちょっと隠し撮り(どうどうと)してしまったのでした( ´艸`)>
今回は11/23のみ参りました。ピアニスト交代のため、ブロンフマンは聴けず。代打のキット・アームストロングは将来を期待されている若手ですが、「仕方ないよねー」とすいません、無責任な感想ですが、もともとベートーヴェン音痴の私にとっては、ブロンフマンが弾くので聴きたかったわけです・・・。でもティーレマンの采配には恐れ入った。
それよりも、後半のチャイコフスキー幻想序曲『ロメオとジュリエット』。これほどまでに美しい演奏を聴いたことがありません。ロシアオケなどで聴く叙情と力感とはまた違う、精緻で細やか溺れないバランスの良さというのか、とにかくいいものを聴いてしまいました。
リストのラ・プレリュードは、以前聴いたムーティ&ウィーンフィルに匹敵する華やかさ。お二人の共通するオペラ指揮者としてのレベルの高さが、最後に幕が開けてその先を想像させる、まさに「前奏曲」というタイトルにふさわしい堂々たる進行。
そして、これに応えるように、アンコールでキター(≧∇≦)のは、『ローエングリン』第三幕への前奏曲。アンコールでワグナーをやってくれないかなあ〜なあ〜と念力していたので、もう嬉しさで心の中でガッツポーズですよ。完全に心はバイロイトに飛んでいました。やっぱり、バイロイトでティーレマンを聴きたい!いや聴きますとも!!
最終週の土日月は三連ちゃんになりました。土曜日は、ルーステム・サイトクーロフピアノのラフマニノフピアノ協奏曲3番。これはサイトクーロフが全く妥協なく弾き続けたところで、ちょっとオケとのバランスに疑問がありましたが、最後は素晴らしかった。アンコールのリゴレットパラフレーズを聴いて、リサイタルは素晴らしいだろうな、と容易に想像がつく実力者でした。
私はマーラーを聴き始めたのが遅く、ここ数年なのですが、どうしてマーラーの交響曲の良さがわからなかったのです。ところがあることがきっかけで、1年間かけてマーラーだけを聴き続けるという体験をしたときに、マーラー9番病、というのにかかってしまいました。その年はベルリンフィルがこの曲を引っさげて来日した年でした。マーラーにもブルックナーと同じような、演奏スタイルというか、演奏解釈の方向性の今昔みたいのがあります。私はバーンスタイン&ベルリンフィルのCDを繰り返し繰り返し聴き続けたせいで、「情念」たっぷりの9番にはまってしまいました。そのころ、ちょっと信じてもらえるかどうかわかりませんが、人生でとっても大きなできごとが起こり、まさにマーラー9番によって、次元空間を動かされてしまったのではないか、と思うような経験をしました。(結びつけて考えざるをえないような状況だったのです)
その時から、この曲は日常的には聴けなくなりました。聴くためには準備が必要なのです。もしくはあんまり影響のなさそうな日本の軽いオケ(変な表現ですが)で聴くとかに留めていました。
しかし、今回はヤンソンスがこの曲を指揮するという。バイエルン放送交響楽団はもちろん実力のあるオケですが、私の中ではナンバーワンではない。それでも、今のヤンソンスが指揮をしたら、どうなるだろうか?これはかなり興味を引かれ、行くことにしました。
結果、11/27の演奏は、サントリーホールの演奏会において、おそらく記録に残る名演であったと確信します。
でも、それは「情念系」のマーラー9ではなかった。4楽章ではヤンソンスの微笑みすら何度も見られる、至福のアダージョだったのです。
これによって、私自身もなんだか解放されたというか、マーラー9番がこわくなくなったというか・・・。
それでも、この曲はこのレベル以上の指揮者とオケでしか表現できないものをもっていて、おそろしく底知れない曲なのです。
来年ザルツブルク音楽祭で、ハイティンクが同曲を指揮します。(聴きたーい)
今回で3年連続参加させていただいている、クトロヴァッツ兄弟のピアノデュオ。今回は、ヨハン・シュトラウスとブラームス、というまさにウィーンの香り漂う、年末バージョンでした。今回は連弾でしたので、ピアノは1台でした。YAMAHAホールは満席で、ファンも定着している様子です。なんといっても、底抜けに明るくて、力強くて、なんというか嫌なことを忘れさせてくれる演奏なのです。ロックコンサートに通じるようなノリとリズム感があり、確かに由緒正しきクラシックコンサートとは一線を画すけれども、私はこの演奏会が好きなのです。
今週からはピアノモードに復活