近場を散策した後
軽くお茶をして帰ることが多い。
その日はとても暑く、
ひと休みしたかったが
辺りに喫茶店は見当たらなかった。
「ここでお茶にしましょうか。」
「ファミレスか。気が乗らないなあ。」
彼は
特別高級志向ではないけれど、
騒々しい場所は好まない。
「たまには面白いですよ。
確か私、
アプリのクーポン持ってたはずです。」
申し訳ないとは思ったが、
暑さにやられて私は限界だった。
ちょっとしたデザートとドリンクバーを
頼み、
私がさらにフライドポテトを
注文した。
「そんな子供騙しの食べ物が好きなのか。」
「あら、けっこう美味しいんですよ。」
トリュフ塩のポテトフライ。
「飲み物は何になさいます?
私、取りに行ってきますよ。」
ドリンクバーは大変だろう。
ポテトも美味いもんだな、と
たくさん食べていたし
ドリンクのおかわりも散々したし
抹茶スイーツも食べられたしで
なんだかんだファミレスでのお茶会は
満足したようだ。
以降
たまにファミレスに行くが、
彼も慣れたもので、
「どんな飲み物があるか見たいから
自分で行ってくるよ。」
と言い残して
さっさとドリンクバーに
行ってしまう。
紫の煙の中で
ブラックコーヒーを啜る彼もいいけど
ドリンクバーのキャロットジュースに
はしゃぐ彼もまた、悪くない。