勤め先の昇格試験を受けた。
妻子を養うために中途入社した会社では
どちらかといえば肉体労働の職に
就いていたけれど、
離婚後、偉くなろうと思ったらしい。
本来頭脳明晰な、
スペックの高い人だったから、
あっさり試験にも合格して、
作業着からスーツ姿に変身し、
上司に一目置かれながら
猛スピードで出世していった。
スーツ姿が本当によく似合う人だった。
見慣れていても
眩しくて目を逸らしてしまうくらい。
地位を手に入れた彼の事は、
私の密かな自慢だった。
私自身も負けじと頑張って、
一人前の会社員になった。
けれど2年後、飛ぶ鳥を落とす勢いだった彼を快く思わないライバルに、足をすくわれる事になる。
そして、一瞬にして平社員に転落した彼に、
近づいた女性が居た。