ここに1冊の本がある。


「100年予測 世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図」 著作ジョージ・フリードマン

2009年の発行されたものであり、5年の時を経て、その未来予想は現実との検証に耐えうるものか、読み返してみた。


眼を引いたのはウクライナ・ロシアの記述だ。

ウクライナを「ロシア勢力圏への再吸収することは、今後5年以内に起こる既定事実である」と明記している。「既定事実」とまで表現することは、恐らくそれなりの根拠を持った情報源から得た事実なのであろう。


ここから示唆されることは、ロシアがウクライナを勢力圏として組み入れることを強く欲していることは、ある意味インテリジェンスの世界では「常識」だったのだろう。その中で、欧米勢力はウクライナに騒乱を引き起こしたり、NATOに組み入れようとした。これはロシアから見たら「明確な侵略行為」だというのも、ある意味うなずける。


今、欧州の辺境で起きているこの戦争は何を意味するのか。


まさに「西」ヨーロッパ連合による、ロシアへの戦争に他ならない。


少子高齢化と人口流出に苦しむロシアは、その身に余る領土を維持するために外への膨張姿勢を維持することで、国内引き締めに利用している。しかし、その試みは破滅的な結果をもたらすかもしれない大きな「賭け」であろう。真珠湾に突入する日本と重なりさえする。


一方、欧州各国の首脳が、飛行機墜落事故に強く憤り、ロシアを非難しても、その声は虚しく響きさえ感じる。

ウクライナ東部からの何万人という難民がさまよい、多くの都市が破壊され、町中に得体のしれない兵隊が徘徊し、何千人という死者を出しても、欧米諸国は一顧だにしなかったが、自国民が飛行機撃墜により数十人死んだことに対して強い非難をする偽善。

そして、すぐに「国際社会」は多くの悲劇を忘れる。


ウクライナ主権は侵害され続け、都市が破壊されても、欧米から見ればそれは「ロシア勢力圏内の内輪もめ」であり「ロシア衰退」そのものであるから、戦争が続いたとしても自身への被害(飛行機撃墜のような)がない限りは、「容認される事態」なのであろう。




私は、一市民として、何を信じるか、今後も考えていきたい。