<鳩山総務相「壊したのは国の恥」 東京中央郵便局視察> asahi.com http://www.asahi.com/politics/update/0302/TKY200903020111.html

 建築物として文化的価値の高いJR東京駅前の東京中央郵便局を鳩山総務相が2日午前、視察した。建て替え工事の準備作業が進んでいるが、鳩山総務相は「利益追求主義で重要文化財級の価値ある建物の一部を壊したのは、国の恥だ」と発言。改めて、日本郵政に再開発の中止を求めていく考えを示した。

 東京中央郵便局は1931(昭和6)年の完成。当時のモダニズムを代表する建築物として知られる。鳩山総務相は約30分間、工事現場を視察した。終了後、記者団に「工事は相当進んでおり、泣きたい気持ちだ。保存すべきかどうか世論に聞いてみたい」と語った。

(略)


最近の鳩山総務相による一連の「日本郵政バッシング」の真の目的は何か?

テレビで鳩山総務相が、ある意味必死に日本郵政の不当さを訴える様を見ていると、「何か裏があるに違いない」と勘繰らざるを得ない。視察時に『泣きたい気持ちだ』と言っているが、涙を流すことは無いであろう。目は口ほどにモノを言う。


簡保の宿の売却について、政治問題化させたことに続き、東京中央郵便局の建替えに異を唱え始めた。

そもそも、総務大臣に日本郵政の資産処分についてまで、監督・指導する権限があるのか?


まず、郵政民営化の流れを確認すると・・・、2005年10月の郵政民営化法の公布、2007年10月の郵政民営化により日本郵政(株)を持株会社として、郵便・ゆうちょ、かんぽの事業に分割した。現時点では日本郵政(株)の全株を日本政府が有する(2017年までに1/3まで売却予定)。つまり日本政府=総務大臣=株主=会社の所有者となる。一方で、株主は何でもかんでも経営に口を挟めるかというと、そうではなく、会社法では経営は「取締役会」に権限が委譲されている。


つまり、「所有」と「経営」を分離すべきところ、、鳩山総務相は「口先介入」によるギリギリの線で「経営権」を侵害しつつ、「所有者」として日本郵政に対する影響力の拡大を狙っているのである。


日本郵政の西川総裁は小泉改革の申し子である竹中平蔵と親しく、三井住友FG社長を2005年に退任後、日本郵政総裁に就任した。つまり、小泉-竹中-西川は一本のラインでつながっている。


ひるがえって現在の麻生首相は「郵政民営化についてもともとは賛成ではなかった」と発言するなど、基本的に「反小泉」「反郵政民営化」なのである。これは自民党内の派閥争いと深く関係している。


麻生派(為公会(いこうかい))と、福田・安倍の流れを組む町村派(清和政策研究会)の派閥は、設立以来交わることなく続いており、小泉元首相(元福田派)から安倍、福田と続く「主流派」から、「非主流派」であった麻生派が首相の座を射止めた経緯がある。


結論的には、一連の鳩山総務相による「日本郵政バッシング」の目的は、小泉勢力の駆逐と町村派の勢力をそぐことにあると考えざるを得ない。せまる総選挙に向けて、内なる派閥抗争と、外の政党争いは既に始まっているのである。


強気で知られる西川総裁の弱った姿。さすがに国会答弁やらマスコミに追い掛け回されると、人間は弱ります。


この記事を読んで、「本当にそうか」「重要文化財(レベル)の建築物は保護するべきだ」「鳩山総務相にも一理ある」と思う読者もいるであろう。

この記事は、鳩山総務相の発言内容の是非、東京中央郵便局の保存如何について議論しているのではない。

日本有数のお金持ちで、生まれながらの政治家が、「泣きたい気持ち」だとか「子供のころ切手を買った」だとか、「世論に問いたい」といった、心情に訴える、かつ重大な問題であるかのうように発言を繰り返す本当の意図は何か、一つの見方を示したのである。