文化祭に向けて、グループ顧問の先生(この先生、昔、マクロスのアニメーターやってたらしく、すごく絵が上手い……というレベルじゃないんです。なぜ教師になったのか……)に画塾を頼んだら、けっこうすんなり引き受けてくださり、最近は落書きが増えました←


 描いてないと、絵の面倒さばかり感じてしまいますが、描けば楽しさばかり募ってきます。

 落書きとか、手抜きなだけにね。細かいとこは見ないフリ。



 それはともかく、樹上のゆりかご、実は初見でした。


 高校生ものって、荻原さんどんなふうに書くのかな? RDGはけっこう異世界感あるから、こういう「学生」ってテーマだと、いつもと違う感じなのかな?


 なんて思ってたら……


 だいぶ、荻原先生ワールド炸裂でした!


 ですよねー。万葉集とか、マザーグースとか、サロメとか、実に荻原さんらしい取り込み方で、なんか、先生の頭の中を覗いてる気分に……。


 マザーグースは、最近、西魔女に出て来たスカボローフェアに浸ってたものだから、おお! と思いました。


 マザーグース、素敵ですもんね! 



 『スカボローフェア』


  スカボロー・フェアに行くのなら

  パセリ セイジ ローズマリーにタイム

  どうかそこに住む人を訪ねて欲しい

  その人はかつて私のまことの恋人だったから


  縫い目も針の跡もない

  パセリ セイジ ローズマリーにタイム

  新しいシャツを私に作って

  さすればあなたはまことの恋人


  水も湧かず雨も降らない
 

  パセリ セイジ ローズマリーにタイム

  あの空井戸でそれを洗って

  さすればあなたはまことの恋人


  アダムのときから咲いたことのない
 

  パセリ セイジ ローズマリー&タイム

  茨の上でそいつを乾かし

  さすればあなたはまことの恋人



  わたしのためにやってくれたら

  パセリ セイジ ローズマリーにタイム

  わたしにも同じことを求めてよいから



  スカボロー・ファアに行くことがあったら

  パセリ セイジ ローズマリーにタイム

  どうかある人を訪ねてください

  わたしのかつてのまことの恋人

  塩水と砂にはさまれたところに

  パセリ セイジ ローズマリーにタイム

  ひと畝の土地を見つけたのなら

  そしたらあなたはまことの恋人

  羊の角でその土地を耕し

  パセリ セイジ ローズマリーにタイム

  そこにコショウの種をまいたのなら

  そしたらあなたはまことの恋人


  皮の鎌でコショウの実を刈り

  パセリ セイジ ローズマリーにタイム

  ヒースの縄で梱包したら

  そしたらあなたはまことの恋人



  いわれた仕事をみんなすませたら

  パセリ セイジ ローズマリーにタイム

  シャツをとりにやってきて

  そしたらあなたはまことの恋人


  もしもあなたができないというなら

  パセリ セイジ ローズマリーにタイム

  少しでも誠意を見せて

  そしたらあなたはまことの恋人



 元らしい、エルフィンナイトより(←こっちも好きだけど!)、清涼感あって、これを基にした話が書きたくなる……。


 六月中はわけありで書けないですけども。



 大脱線!


 ※以下、盛大にネタバレ※


 樹上のゆりかご読んでて、ちゃんと夏郎の暗示には気付いたのですが、、、


 問題は、何を示しているのか、ぱっとしない!


 ハールーンは、過去の苦労あってのハールーンなわけで、夢の世界とか、物語だから、とかでその人格をうつつに通用しないものにしても良いものか、悩んでしまい、でも、過去なんて夢みたいなものだし、それこそ、思い込みとの区別がつかないわけだから、すべて夢の中にあったもので、うつつにはそれを持ち越さない、まったくハールーン要素皆無で彼は戻ってきたんでしょうか?


 というか、最後まで怪しかったんだけど……夏郎ってハールーンなんですか?


 ジャニって、見た目も何もかもそのままだったけど、それは「鍵」だから、夢とうつつで共通じゃなきゃいけなかったってこと?


 で、ハールーンは? みたいな。


 ハールーンにちょっとだけ、うつつから同調しちゃったとか? 読み手が感情移入するみたいに。


 ……どんどん、解釈曲がってきたーーー


 もう、考えてもよくわからんので、わかったらまた書きます。



 そんな感じで、落書き↓


夏 「ごめんって おひいさん! もう平成の紫式部にしては口がキツイとか誰にも言わないって!」


ひ「江藤クンなんて、もうしらない! 古典教えてあげないから!」


 的な。

 E組で軽口叩いた夏郎が、ひろみにバレて怒られてるのは、日常茶飯事な気がする。








 もう、荻原作品の女の子の可愛さは半端ないけど、荻原男子もね、鳥彦とか、夏郎とか、か、可愛い!


 ルーンとか草十郎とか阿高とか、すぐ突っ走る子も好きだけど! ユーシスみたいななんでもできちゃうけど、気取らない天然も好きだけど!


 ひろみはどこか、苑上っぽくて、すごく好きなタイプです。強がりで、間違うことも覚悟してずんずん進んでいける女の子!



 あと、途中で、『平易な文』という言葉が出てくるんですよね。


 初めて読んだ西魔女、次に読んだRDGで、荻原さんの漢字の使い方や、すとんと落ちてくる言葉が素敵だとは思ったのですが、これが操れるってすごい! と思ったのは、実は黒田夏子さんの『abサンゴ』が賞を取って有名になったときでした。


 ちらりとしか読んだことはありませんが、まさしく『平易な文』によって構成されている本なのではないかと思い、そのとき、初めてこのような作品を書けることは類いまれなものなのだと、実感しました。


 惹かれるものがある文章は、平易なのだと、思いました。あまりにも多い比喩表現や、感情が置いていかれる語彙は意味がなく、それらを引っ張る平易な文にこそ、意味があるのかな、なんて思いました。


 私も書けるようになりたいなぁ……。


 そして、全く関係ないけど、日本史の先生がこんなことを仰いました。


 「二、三年前までは薬子の乱とか言ったんだけど、史上の女性って、歴史書作る男の感覚で良い人と悪い人にきっぱり別れるわけで、薬子は悪い女だから、平城太上天皇を唆して弟の嵯峨天皇に反旗を翻させたって説があったけど、これは最近、薬子にはそこまでの力はなかったという説の方が有力になってるから、薬子の変とか乱とかは今はあんまり言わないんですよねぇ。なので、仲成の変とか平城太上天皇の変で覚えてくださいね」


 なぬ!?


 嘘……そうなの?


 いやいやいやいやいや、仲成とか、最後の殺される描写くらいしかないんじゃないの? 薬子、けっこうな切れ者よ?


 荻原さんの(←ここで戻ってくる本日のテーマ)薄紅天女のあとがきに、仲成とか出番少ないし、もうこの人薬子なんじゃね?(←注:本家様はこんな言葉遣いじゃありません)的な解釈もあるってこと書いてあったし。


 私は、そのほうが色々素敵だと思います!(←何の宣言!?)


 そんなこんなで、日本史は波乱万丈です。