別に旅じゃないんですが、このテーマです。


 行ってきました! 科博の「石の世界と宮沢賢治」展!


 そして、講演会! (なんとも残念な理由で遅刻し、三分の一を聞き逃しましたが←流石に、遅刻の原因さん――人間じゃないですが――にキレかけました(*^^*) )


 展示も素敵でしたが、やっぱり賢治さんの弟・清六さんのお孫さん、宮沢和樹さんの講演会は面白かったです。清六さん自身も文学は好きだったそうですが、兄より前へ出ることを嫌がって、なかなか作品を多く書かなかったそうです。でも、文章を書くのは兄に劣らず好きだったそうです。


 「雨ニモマケズ」は詩ではなく、自分へ向けた言葉であり、世に出すかどうか清六さんと高村光太郎さんは悩まれたそうです。


 それでも、東西南北を意識された部分があったため、作品として世に送り出されたと。


 この中で、「行ッテ」はとても強調されていて、「北ニケンクヮヤソショウガアレバ ツマラナイカラヤメロトイヒ」には「行ッテ」がないのですが、これが書かれていたメモにはちゃんと四つ目の「行ッテ」が赤い文字で書かれています。


 この「雨ニモマケズ」は、道徳の授業とかで使われたりしますが、これは賢治さんの個人的な「こう在りたい」という想いなのであって、人に教訓として教えるものではないと、たしかに感じます。


 「行ッテ」という言葉のように、自分の「こう在りたい」という指標は自分で行動して見つけていくものなのかも。


 因みに、「雨ニモマケズ」の後には略式十界曼荼羅が書かれていて、これも含めて「雨ニモマケズ」だとも言われます。


 この曼荼羅には、浄行菩薩、上行菩薩、無辺行菩薩、安立行菩薩という、「行」の字が入った菩薩様が四柱、書かれています。


 作品として、丁寧に言葉を選んだのではなくとも、頭にこの曼荼羅が浮かんでいて、「東西南北」と「行ッテ」を強く意識した形になったのではないか、と和樹さんは語られていました。


 賢治さんは、膨大なSPレコードを集めていたそうで、ベートーヴェンの田園を聴きながら「小岩井農場」の詩を朗読するとピッタリだとか言われています。と言っても、読書速度は人それぞれなので何とも言えませんが。


 でも、きっと、自然と頭の中で音楽に詩を当てていたこともあったのではないでしょうか。



 面白かったのは、賢治さんは金銭感覚にはルーズで、詐欺にわざと引っ掛って家に帰ってきたことがあったそうです。同じような時計を十個くらい携えて、引っ掛った理由は詐欺師の人があんまり口上巧みで可哀そうだったからとか。


 こんなこともあり、賢治さんの父・政次郎さんは、賢治さんは家業に向いてないと思っていたそうです。


 清次郎さんは浄土真宗の檀家総代をしていたそうで、賢治さんは幼い頃から仏教に馴染んでいました。その後、法華経に感銘を受けた賢治さんは、清次郎さんに改宗を進め、議論へと発展してしまいます。


 清六さんは、当時、まだ八歳くらいだったらしく、その内容について詳しいことはわからなかったそうですが、それは決して、新興宗教に傾倒するような、洗脳、埋没を連想させる状況ではなく、純粋な「議論」だったと感じたそうです。宗派というより、法華経そのものに感動していたそうです。


 そして、賢治さんはサイダーと蕎麦が好きで、双方を共に食べていた、という逸話が残っていますが、それはそういう時も無かったわけではない、ということだそうです。


 両方好きだけど、一緒に食べるという話が広がったのは、教師時代、生徒に奢ったりしてたからだそうで。


 でも、本当にそういう食べ方もしていたそうだから、当時としては高級品なのに、さすが、金銭感覚ルーズなんだなー、って感じです。教員としてのお給料も、普通の倍くらいは貰ってたそうですからね。家業も質屋と地主で、資産家でしたからね。

 因みに、賢治さんはこの貧しい人からも利子を取る地主というのが嫌だったそうで、それが清次郎さんとの確執を深めたようです。


 他にも、質屋と兼ねて、古着屋さんもやっていたそうですが、トシさんが結核によって亡くなってしまい、衛生面を考えて古着屋さんをやめ、清六さん(賢治さんはやりたいことがあったため、家督は継がず←なんて奔放な!)は金物屋さんに鞍替えしたそうです。


 このときのカタログ制作なんかは賢治さんが手伝ったそうで、人口宝石に走りながらも清六さんのサポートはしていたそうです。


 限が無いので、講演会のことはここまでにしますが、本当に笑いのある講演で、楽しませていただきました。聞き逃した三十分が辛すぎる!


 展示の方は石がメインでしたが、賢治さんの蔵書などもあり、また、あのバダグルミや、ボスの化石なんかまでありました。あと、賢治さんが作った石のプレパラートなんかもあって。


 石とともに、その石にかかわる作品の文章が添えられていて、結構感動しました。


 十力の金剛石なんて、ほんとにたくさんの宝石が出てくるわけで、飾られている鉱物も素敵でした!


 講演会は終わってしまいましたが、この展示自体は六月までやってるので、ファンの方にはぜひお薦めです!!