高橋由太さんの『オサキ江戸へ』を紹介します!
これまた『このミス大賞』の隠し玉(何記事か前の「珈琲店タレーランの事件簿」紹介記事で説明があります)です!
高橋由太さんといえば最近は「ちょんまげ、ちょうだい」(可愛い狸の女の子妖怪がやたら凄腕の剣士といろんな方法で事件を解決する感じのお話)シリーズなんかを書店でよく見かけます。
この「オサキ江戸へ」は御先狐(尾裂き狐)のオサキとオサキモチの憑き物筋である周吉が本所深川で危ない目に遭いながらも難事件に立ち向かっていく話です。
オサキギツネとは尾が二股の妖怪でイタチとネズミやフクロウとネズミの雑種のような姿の憑き物です。よく知られる憑き物には犬神や管狐なんかがありますが、そんな感じのものです。犬神や猫鬼は巫蠱(巫術)という生き物の犠牲を要する、つまり―殺した動物の怨念を従わせて財を成したり人を呪殺するような術―を経て使役するわけですが・・・もちろんオサキは別です。
オサキは主に、オサキ・お先・尾先・尾裂き・ミサキ…などいろいろな字が当てられますが、これは九尾の狐の毛が飛んで霊になったため「お先」、九尾の狐の尾から生まれたから「尾先」、尾が二股だから「尾裂き」、神の眷属をあらわす「ミサキ」などの数多の由来があります。
なのでオサキは人に生み出されたものではありません。
オサキに憑かれると急に裕福になると言われます。オサキは他から財産やらを憑いた者へ運び、栄えさせるので周囲の人々からオサキモチは嫌われ、嫁入りなど、縁組で憑き物筋は広がるとも言われたので婚姻にも支障をきたしました。
因みに、オサキは普通の人には見えないと言われていて、そのせいで謂れのない迫害を受ける人もいたと考えられます…。
そんなわけで、
主人公の周吉は祖父から憑き物体質を受け継ぎ、生まれた村で辛い目に会い、現在の奉公先主人たちにはオサキモチであることを明かさずに生活しています。
オサキは周吉をからかうのが仕事とばかりに毎日周吉の恋や仕事に余計なことを言います。それも日課のように平穏無事に過ごしていたある日、奉公先の献残屋(武家の献上品のリサイクルショップ的なもの)・鵙屋の一人娘、お琴が行方不明に…
周吉はいろんな人に助けられながらオサキとお琴捜索に乗り出します。
物語にはちょこっとした謎も残ります。現在4巻まで出ているのですが私はまだ1巻の「オサキ江戸へ」で止まっているので相当気になっています・・・これも作家さんの腕前というのか・・・。
とっても愉快で、でも時に切なくて、すごく面白かったです!
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