宝島社『「このミステリーがすごい!」大賞』、通称このミス大賞で惜しくも落選したものの、内容が評価され出版に至ったものを「このミス大賞 隠し玉」といいます。


今回紹介する『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』は第10回の隠し玉で、岡崎琢磨さんの作品です。


 珈琲好きの青年、「アオヤマ」はたまたま入った珈琲店、タレーランで長年追い求めてきた理想の珈琲と出会います。

 奥の方にいるマスターらしきおじいさんが淹れているのかと思いきや、その珈琲を淹れていたのは、なんとバイトさんかとも思っていたとても若そうな女性のバリスタでした。

 見かけによらずおじいさんはだいぶ砕けた人で、失礼な発言もしばしば。バリスタは推理することが大好きで聡明。そのうえ年上でした。

 アオヤマはバリスタの淹れる珈琲の秘訣が知りたくて、そしてもちろん純粋に珈琲を味わうためにタレーランに通うように…。

 バリスタはアオヤマの持ち込む身近な謎やちょっとしたハプニングの謎をいとも簡単に解いてしまいます。

 しかし、彼女には悲しく苦しい過去があったのです。


珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞.../宝島社
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この作品はとってもやわらかく、珈琲に詳しくなくてもスムーズに読み進められました。

珈琲を飲みながら小さい事件を解いていく…。おじいさんのセリフに笑い、事件の真相に驚き、自分も物語のなかでタレーランのお客として聞き耳を立てているよな…そんな不思議な感覚で読みました…。


最後の方はなんとも切ないラストにもどかしくて仕方ありませんでしたが、最後の最後ですっきりまとまり、ホッとしました。そしてとても主人公の性格に沿った終わり方だなぁと思わず笑ってしまった…。


少し息抜きしたい時に読むと落ち着ける作品で最近のお気に入りです。